M世代の韓国エンタメウォッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者が韓国のアイドル事情や気になったニュースについてゆるっと本音で語る【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】。韓国エンタメ初心者からベテランまで、これを読めば韓国エンタメに“沼る”こと間違いなし!
#15のテーマはSMエンターテインメントの大株主となった韓国で圧倒的なパワーを持つ企業「カカオ」について。
韓国では生活に欠かせないさまざまなサービスを運営し、K-POPファンには耳なじみのある企業でありながらも、日本ではあまり知られていないのも事実。一体どんな企業なのか、K-POP事業に注力し始めた背景についても語ります。
【前回の記事(#14)はこちら】
カカオってどんな会社?
編集担当・矢野(以下、矢野):すごく今さらな疑問がありまして……今回SMエンターテインメント(以下、SM)の経営権を巡ってHYBEと買収合戦を繰り広げた「カカオ(※)」ってどんな会社なのか実はピンと来ていないんです。いわゆる“財閥系”っていうやつですか?
※カカオとその系列会社も含む
K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):それが、意外にも財閥系ではないんですよ。
矢野:てっきり韓国の大企業といえば、CJやサムスンのような財閥系のイメージを抱いていました。まだ僕が学生の頃、日本でも一時期「カカオトーク」のCMが流れていた記憶があります。韓国では「LINE」よりも使われているとか。
ゆりこ:残念ながら日本ではLINEに押されて浸透しなかったものの、カトッ(カカオトークの略称)は韓国で生活するには欠かせないものです。他にもあらゆるサービスを提供していて、タクシーの手配、お店の予約、そして音楽配信、ゲームなど幅広く網羅しています。
矢野:日本で言うとZホールディングスみたいな存在ですか?
ゆりこ:はい。オンラインゲームで財を成して拡大していった点においてはサイバーエージェント、強固な経済圏を持っている点では楽天っぽさもあるかな。それだけ多面展開しているグループなんです。それに実はカカオって金融サービスが強い。「カカオバンク」というネット銀行と「カカオペイ」という決済サービスは韓国国内でかなり浸透しています。
矢野:ちょうど先日、カカオペイと日本のPayPayが業務協約締結するというニュースが! 韓国人観光客向けに、東京、大阪、福岡、北海道など一部都市のPayPay加盟店でカカオペイが使えるようになるそうですよ(※1)。
ゆりこ:やはりカカオペイは勢いに乗っていますね。ぜひソウルや釜山(プサン)でもPayPayが使えるようになるとうれしいな。とまあ、決済サービスやメッセンジャーなどカカオのサービスは韓国に住む人たちの日常に深く入り込んでいます。カカオ無しでの韓国生活って……ほぼ不可能かもしれない。韓国大統領が「民間企業でありながら、実質的には国のインフラだ」と発言するぐらいの影響力を持っています。
矢野:正直、そこまでとは思いませんでした。だからこそ新たな疑問も浮かぶのですが、“韓国のインフラ”とまでいわれるカカオがあえてSMを買収しようとする理由ってどこにあるのでしょう? もちろんSM所属のアーティストや楽曲は魅力的ですし、世界中にファンを抱えています。その権利やノウハウを会社ごと手に入れて、一層エンタメビジネスを拡大させたい! という気持ちも分かるのですが……(こんな騒動になっても)手を引かなかったのはなぜなのかなって。