「ほとんどの人は年金を増額してほしいと思うはず……!」
金融庁の報告書に端を発して話題となった「老後2000万円問題」など、老後の心配事といえばやはりお金ではないでしょうか。ただ、後の世代のことを考えるとあまりぜいたくも言えないという心境の人もいるようです。
現役時代にいくら稼ぎ、貯蓄をしておけば安心した暮らしができるのか。All About編集部が実施したアンケート調査から、東京都在住66歳男性のケースをご紹介します。
回答者の年金額
こちらの男性は、既婚で子どもあり。現役時代のピーク年収は50代の頃の1200万円で、現在の貯蓄額は100万円。66歳時点の年金額(老齢基礎年金、老齢厚生年金、個人年金などの合計)は月22万円で、その額に満足しているか聞くと「どちらともいえない」と回答しています。
66歳男性の年金平均額は?
厚生労働省が発表した「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)の平均年金受給額は月額14万5665円。65歳以上男性の平均値を見ると16万9006円。66歳時点の年金額である月22万円は、平均より多いといえそうです。
「ほとんどの高齢者が増額すべきだと答えるだろう」
年金額に満足していると言い切れない理由として「今の年金で十分ですかと聞かれれば、ほとんどの高齢者が十分ではない、増額すべきだと答えるだろうと思います」と語る男性。
「しかし自分たちが払い込んだ額よりはるかに多い年金を受け取り、働かずして現役世代の平均を上回る収入を得ている団塊世代が同様の不平不満を漏らしているのを聞くと、日本の年金システムはやはり何かが根本的に間違っているのだと思わざるを得ません。私の世代は、平均寿命まで生きるとしたら払ったものをそのまま受け取って死んでいく世代ですから、多少生活が苦しくても文句を言う筋合いではないと考えています」と、実際には不満があっても、後の世代のことを考えると恵まれている方だという認識のようです。
「うまく仕事の手を抜いて趣味を多く持つべきだった」
現役時代の後悔について伺うと「長時間勤務が多く、家族と共に過ごす時間もろくに取れませんでした。そのこと自体は1つの生き方で後悔するものではありませんが、心残りがあるとすればその努力が結果的に大して報われなかった点でしょう」と回想する男性。
「社員は会社にとって単なるリソースでしかなく、多少の加点があったとしても最終的には50代後半で時間切れ。よく言われる事ではありますが、渦中にいる者にはそれがなかなか伝わらないのも事実です。もっとうまく手を抜いて1つでも趣味を多く持つべきだったと思います」と、金銭面での後悔ではなく、過ごし方の後悔が頭をよぎるようです。
「現役時代は典型的な『貧乏父さん』だった」
現在の年金暮らしで工夫している節約術を伺うと「自営業で自宅とは別に事務所を設けてフルタイムで仕事をしていますが、従業員もいないので生活費は極力節約しています。例を挙げると、事務所ではガスやNHKの契約をしない、昼食はスーパーの値引き品や業務用食材を利用して一食400円以内に抑える、ジム通いはせず、事務所まで歩いて通う事で運動の代わりにするなどといったところでしょうか」とのこと。
今後については「現役時代の自分の収入は、1日14時間以上働いていたこともあって多少人並みを上回るものだったかもしれませんが、税金・社会保障費で搾られるだけ搾り取られてロクに貯蓄もできなかった典型的な『貧乏父さん』だと思います。今後体が効かなくなることを考えると正直不安しかありませんが、金についてはどうしようもない部分があるので、少なくとも80歳までは辛うじて健康でいられるよう、食事と生活習慣には気をつけようと考えています」と語ってくれました。
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