“映画”木村拓哉も“大河”岡田准一も……織田信長の「暴力的」なイメージは真実ではなかった?

戦国大名・織田信長といえば、大河ドラマや時代劇の影響もあり、尊大で暴力的といったイメージがありますが、それは本当でしょうか? 日本中世史に詳しい歴史学者が知られざる信長の実態に迫ります。

信長は「魔王」で「ドS」なキャラクター

大河ドラマ『どうする家康』(NHK)がスタートしました。「どうする桶狭間」と題した初回は、永禄3年(1560年)の桶狭間の戦いで織田信長に今川義元が討ち取られるところまでが描かれました。特に話題となったのが、終盤に登場した岡田准一さん演じる、黒マントを羽織った織田信長でした。

「待ってろよ、竹千代(家康の幼名)。俺の白兎」との、いきなりのドS発言にもびっくりしましたが、信長軍迫ると聞いた家康が体中をガタガタと震わせ、「あの男はまともではない! あれはケダモノじゃ。飢えた狼じゃ」と叫んだことも印象的でした。 どうやら、少年時代の家康は、織田家人質時代に、若き信長からいたぶられていたとの設定のようです。
 

1月27日に公開されたばかりの映画『レジェンド&バタフライ』(木村拓哉主演)の紹介文でも、「権威を振りかざし尊大な態度」「魔王と呼ばれた信長」との文言が見えます。 「暴力的」で「尊大」な信長。こう聞いて、多くの人は「その通り」と思うのではないでしょうか。
 

特に晩年、明智光秀に対して暴力を振るうシーンが時代劇で何度も映し出されてきましたので、信長=暴力的で怖い人というイメージは人々に染みついていると思われます。
 

「奇抜な格好」は事実、では本当の性格は?

しかし、信長に仕えた太田牛一が記した信長の一代記『信長公記』をひもといても、まず、若い頃の信長に暴力的なところはありません。確かに、髪は茶せん髷(まげ)、髻(たぶさ ※髪を頭上に束ねたもの)を紅や萌黄糸で結い、人によりかかり歩く・立ちながら餅を食うなど、奇抜な格好と態度ではありましたが(そのせいで、人々は信長を大うつけ=大ばか者と呼んだ)、人に対し、暴力を振るったとか乱暴をしたなどの記述はありません。
 

身なりこそ変わっていましたが、朝夕に馬の稽古をしたり、水練をしたり、弓・鉄砲・兵法の稽古をするなど、武家の子として真面目に鍛錬に励んでいたのです。
 

信長というと、1度でも自らに歯向かった者には容赦はしないイメージもあると思うのですが、実はそうでもありません。弟・織田信勝(信行)は兄・信長に敵対、挙兵して敗れますが(1556年)、母・土田御前の取りなしもあり赦免しています。しかし信勝はまたもや謀反を計画。ついに信長に呼び出されて、誅殺されてしまうのです。
 

若い頃だけではなく、信長は後年になっても、家臣(例えば荒木村重)に謀反されても怒るのではなく「何か、不満でもあるのだろうか。もし考えていることがあるなら聞いてやろう」というような態度を示しています。
 

いわゆる信長像が定着した理由は?

前述したように、ドラマなどではよく明智光秀が信長から叩かれたり、蹴られたり、散々な目に遭っていますが、これらの逸話は、信ぴょう性が薄い江戸時代の編さん物を基にしていて、本当にあったこととは思えません(『信長公記』も一次史料ではありませんが、それらの記録物よりは信頼が置けます)。
 

『信長公記』には、信長が光秀に暴力を振るったとの記載はありませんし、他の家臣に乱暴したとの話もありません。信長はわれわれが考えているよりも「乱暴」「暴力的」ではなかったのではないでしょうか?
 

江戸時代になると、信長が光秀に、暴力を含むひどい仕打ちをしたとの話が「俗書」に記されることになりますが、それが現代にまで受け継がれ、大河ドラマや時代劇にも何度も描かれる……こうして、信長が暴力的とのイメージが一般に定着したのではないでしょうか。
 

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