老猫には、2匹の子猫を迎えるのがベター
――老猫と子猫、互いを受け入れたとしても、日常生活の基本姿勢は違います。その点で注意点などありますか?
北野獣医師:そうですね、老猫は、日常を穏やかに、ゆったり暮らしたいと思っています。一方、子猫は好奇心いっぱい。老猫に対しては「構って!構って!」と、うるさく近寄ってきます。
老猫にとって、ストレスになるのではないか? と心配になりますよね。あまりにもしつこく子猫が「構って!構って!」とくれば、老猫も「うるさいな~」と感じるのでしょうね。
遊びたい盛りの子猫に我慢するよう言い聞かせることもできません。年齢的なアンバランスによるギャップを解消するには、可能であれば、子猫1匹でなく、2匹増やすとよいでしょう。
子猫2匹で好きなだけ遊びますし、老猫はしつけ係という立場で、子猫の面倒を見てくれるでしょう。そうすれば、老猫の体に負担がかかることはないですし、子猫も社会性を身につけるいい機会になります。
多頭飼いをするときの心の壁、慎重に向き合うことの大切さ
――今まで猫1匹だけの家に2匹増えるとなると、3匹になり、飼い主さんの負担が増えてしまうような気がします。
北野獣医師:そうですね。猫を飼うとき、1匹から2匹に増やす場合、大きな壁があって「どうしようか……」と一般的に悩みます。
それが3匹に増えるとなれば「とんでもない……」と思うかもしれません。この場合の大きな壁というのは、猫を飼うときにかかる費用、老後の負担、住宅のスペースなど、いろいろなことがあると思います。
そこは、個々の飼い主さんの状況やご都合に合せて考えていただく必要があります。
――確かに、我が家でも、最初1匹だけ飼っていたとき2匹目を飼うまで8年かかりました。生き物を増やす場合、先々を考えれば、相応なお金も世話する手間もかかります。そういったことをいろいろ考えていたため、時間がかかったのかもしれません。
北野獣医師:1匹から2匹に増えるとき、いろんなことを考えますよね。たとえば、トイレとか増やさないといけないなど。一般的にトイレは「頭数+1」にした方がよいと言われているので、2匹飼うとなれば3個、3匹であれば4個。「猫のトイレばっかりそんなに置けない……」と思うこともあるでしょう。
トイレは複数設置しておく方がよいですが、家に常時、誰かいて猫のトイレを、いつもキレイな状態に保てるのであれば、トイレばかりをずらーっと並べておかなくても大丈夫です。猫と飼い主の状況を見ながら調整することもできます。
新しく子猫を迎える際の大事な点は、猫にかけるお金や時間が、前よりも増えることです。もしかしたら、引き取った子猫に先天性疾患が見つかるかもしれません。そのようなリスクを含め、引き受ける覚悟があるのか、自分の心と向き合うことが大切です。
まとめ
老猫と子猫、互いを良い意味で刺激し合いながら暮らすときは「老猫+子猫2」。最初に老猫と引き合わせるときは、子猫を隔離して慎重に様子を見守りましょう。
■北野昭子獣医師プロフィール
北里大学獣医畜産学部卒業、動物病院で約20年勤務後、「老犬元氣クリニック」を設立。
エネルギー療法、温活、リハビリ、自然療法で『自己治癒力』を高める治療を行うことで、痛みや、症状の緩和の治療を行っています。ワンちゃん、ネコちゃんの体に負担とならない優しい治療、心地よい治療がモットーです。
https://www.neko-taro.com/
獣医鍼灸学卒後教育プログラム修了
第2回犬の理学療法コース(メルボルン開催)修了
比較統合医療学会会員
■筆者:舟本美子プロフィール
「大切なお金の価値観を見つけるサポーター」会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。30年猫と暮らし、高齢猫の世話についての記事も執筆。現在は3匹の保護猫と暮らしています。
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