LINEの「送信取り消し」機能を乱用する人々の狙いは……送信者側の“気質”に共通点があった?

ネット社会にあふれる「シン・日本語」をプロライター兼コラムニストの山田ゴメスが考察する「山田Gのシン・日本語辞典」シリーズ。【vol.13】は、「送信取り消し」機能を乱用する人たちの目的について。

メッセンジャーアプリやSNSで見かける話題のネットスラングから、大人の常識には当てはめられない日本語の新たな用法、もはや「?」な若者言葉まで。ネット社会にあふれる「シン・日本語」をプロライター歴30年の山田ゴメスが考察する。

 

vol.13 LINEで「送信取り消し」機能を乱用する人たち

ここ数年、LINEでやたら「送信取り消し」機能を乱用する人が筆者のまわりでも急増中だが、その理由のひとつには、送信者側の「かまってチャン(=かまちょ)」気質があるんだとか……。いったい全体どういうことなのか!?
 

考察

LINEに「送信取り消し」機能がついたのは2017年……と、歴史は意外に浅い。それ以前は、女子との密会後に
 

「今日は楽しかったよん(ハートマーク)んじゃオヤスミ〜(ハートマーク×3)」
 

……みたいな浮き足立った文面を妻や本命カノジョに誤送信してしまい真っ青! その苦しい言い訳を、全知全能傾けてひねり出す……なんてケースも皆さん、一度や二度や十度はあったハズ??? ところが今では以下のケースを除けば、LINEメッセージは「長押し→タップ→確認タップ」の3動作だけで簡単に送信が取り消すことができるようになった。
 

【送信が取り消せないもの】
・投票
・日程調整
・通話履歴
・アルバムやノートのサムネール画像操作履歴
・LINE Payの送金
・スタンプのプレゼント
・LINEギフト
・アルバムやノートの作成履歴
・その他の操作履歴
・送信してから24時間以上経過したメッセージ
・公式アカウントに送信したメッセージ
 

確かに、2〜3年前あたりから私のLINEのトークルーム上でも「◯◯◯がメッセージの送信を取り消しました」なる小さなアイコンを頻繁に見かけるようになった。チャット形式のコミュニケーションツールゆえ、ただでさえ誤字脱字や送信先間違い、うっかり失言……などは、ついやらかしてしまいがちだったりする。とりあえずは、勢いだけでガーッと送ってしまい、冷静に見直してヤバめのメッセージはサクサク取り消していく――それが、昨今の(特に若い世代の)LINE文化だと、単純に思い込んでいた。
 

ちなみに、筆者はこの「送信取り消し」の機能を(現時点では)まだ一度も使用したことがない。文筆業という職業柄なのか、たとえLINEの“原稿”でも、わりにきちんと校正・校閲を終えてから送信するし、万一
 

明日の練習試合、
 

出血まだの人は子宮お願いします
 

……と、草野球チームのグループLINEに誤送信してしまったならば、そのすぐ直後に
 

「↑
 

出血→出欠
 

子宮→至急
 

の間違い
 

と、訂正の旨を送信する。「山田ゴメスがメッセージの送信を取り消しました」のアイコンが
 

「このヒト…本当はもっと別の言いたいことがあったんじゃないのか?」
 

……なんて風に相手を惑わせてしまうのが申し訳ないからだ。
 

ところが、一部のユーザーの間では、そんなモヤモヤ感の演出を確信犯的に利用する層が実在するという。


例えば、「未読」のまま放置されていたメッセージを「取り消す」――こうすることによって、相手の“無関心”に一石を投じ、自身のトークルームへと意識を向けさせる効果を狙っているらしい。
 

「送信取り消し」を複数重ねた上で、「あ、ゴメン! 解決した」と〆て、相手から「何かあったの?」「大丈夫?」……などの返信を引き出すという、よりハイブロウなテクニックもある……のだそう。もし、本当なら「かまってチャン」の典型的なメンタルだと筆者もジャッジせざるを得ない。
 

だがしかし、この「送信取り消し」を、仮に恋人や妻・夫にされてしまった場合、そのモヤモヤは「浮気系の疑い」へと集中してしまう危険性が高いため、やはり「送信取り消し」機能に頼り過ぎず「送信前チェック」を怠らないクセは、最低限くらい身に付けておいたほうが無難なのではなかろうか。
 

ちなみに、時折「送信取り消し」と「削除」を混同しちゃっているヒトがいるが、「削除」だと自分のトークルームからそのメッセージが消えるだけで、相手の方には残ったままですから! 念のため……。
 

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