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多様化する現代の恋愛・婚活事情。マッチングアプリや婚活サービスが身近なものとなり、出会いの手段が増えた一方で、失敗や後悔、忘れられない驚がくの“婚活事件”も増えている。恋愛ライター・毒島サチコによる連載「本当にあったアラサー婚活事件」の第2回は、マッチングアプリのエピソードをもとに「ストーカー行為の“線引き”」について紹介する(第1回はこちら)。
 

マッチングアプリで出会った“嫉妬深い”31歳の彼女

「朝起きたら『会いたい』ってLINEが100件も溜まってたんです」
 
こう語るのは、大手広告代理店で営業マンとして働く悟志さん(仮名・34歳)。マッチングアプリで出会った愛子さん(仮名・31歳/事務職)と交際していたが、付き合って3カ月で、悟志さんから別れを告げたという。
 
「軽い気持ちで、マッチングアプリに登録して出会ったのが愛子でした。最初は物静かないい子だなという印象で、何度かデートを重ね、僕から告白したんです。
 
でも、付き合って分かったことがありました。彼女には、僕の行動を全て把握したがる癖があったんです。LINEの返信を怠ると『今何してるの?』とか『忙しいの?』とか。LINEが数10件溜まっていることがありました」
 
さらに愛子さんは、付き合って3カ月で“結婚前提”の話をしてきたという。
 
「もちろん、僕も付き合い始めた当初は“愛子とうまくいけば結婚したいな”と思っていました。
 
でも彼女は、付き合って3カ月以内にも関わらず『両親はどんな方なの?』『今度実家にお邪魔したいな』『子どもは何人欲しいと思ってる?』とか。彼女の友人の子どもの写真や、マイホームを購入したというInstagramの投稿を僕に見せて、そういう話をするんです。そんな彼女を重く感じるようになって」
 

朝起きたらLINEが100件も溜まっていて…… 

「ある日、仕事の飲み会があって、帰宅するのが深夜1時くらいになってしまったことがありました。結構酔っぱらっていたし、23時以降愛子のLINEを返信してなかったのですが……。帰宅すると、マンションの前に、泣きながら愛子が立っていました。『心配でずっと待ってたの』と」
 
「今日は仕事の飲み会がある」と事前に愛子さんには伝えていたという悟志さん。泣いている愛子さんの姿を見て、直感的に“ヤバい”と感じたそうだ。
 
「あんまりいい言葉じゃないですけど、愛子はいわゆる“メンヘラ”だな、と。束縛の強い子とは結婚も考えられないし、後日食事をしながら別れを告げたんです。
 
でも、愛子は『別れたくない』と言って……。僕は『今日で終わりにしよう』と一方的に別れを告げました。これ以上深入りしたらヤバいって思ったんですよね」
 
しかし、これが恐怖の幕開けだった。
 
「その日の深夜3時くらいに、愛子からLINEが100件も届いていたんです……。そのうちの20件くらいは送信取り消しされていて。怖くなってブロックしたんですが、次の日の夜、愛子が訪ねてきました。何度もインターホンを鳴らすので、近くのバーで話すことにしたのですが……。
 
そこでも彼女は『よりを戻したい』の一点張りで。僕は『もう君と復縁するつもりはない。これ以上連絡したり、家には来ないで欲しい』とはっきり告げました。その日は愛子も『分かった』と帰っていったのですが……。
 
後日、愛子はまた僕のマンションを訪ねてきました。全部シカトしていたら、ポストに長文の手紙が入っていて。『あなたを諦めることが出来ない。こんなに愛しているのに』と書いてありました。彼女が僕のマンションに来るのは多い時で週に2度ほど。これじゃあ、新しい恋もできない」
 

「寿退社」が“女の勝ち組”。昭和的な価値観を持つ愛子さん

付き合って3カ月以内に、結婚の話を持ち出す愛子さんからは「結婚に対する焦り」が感じられる。悟志さんは「彼女の職場が大きく影響していたのではないか」と言う。
 
愛子さんは都内の通販会社の一般職で働いていたが、彼女の職場では20代後半になった女性は寿退社か転職を選択するという。彼女は悟志さんに「男性比率の高い会社で、独身女性はあわれみの目で見られるし、飲み会でネタにされる」と語っていた。

会社全体に漂う古い“価値観”が、愛子さんのように「結婚に異常に執着する女性」を生み出していると感じるが、それにしても愛子さんの執念深さは度を超えている。
 
「これ以上ヤバくなったら警察に相談することも考える」という悟志さん。今回のケースのように、相手が拒否しているのにかかわらず、LINEを送りつけたり、自宅に押し掛けたりする行為は、ストーカー規制法に違反する可能性があるようだ。男女問題に詳しい尾崎聖弥弁護士に聞いた。
 

弁護士に聞く「ストーカー」の定義。相手が嫌がる行為を何度もすると……

尾崎弁護士「近年、ストーカーの相談が増えています。ストーカーは、コロナ禍で分断された社会が生み出した孤独な犯罪。満たされない好意は、寂しい人をむしばみます」
 
コロナ禍でストーカーの相談が増えていると語る尾崎弁護士。そもそもストーカーとは、どのような行為を指すのだろうか。
 
尾崎弁護士「ストーカー行為とは、『好意の感情や、それが満たされないことによる怨恨(えんこん)の感情』を持つ相手に対して、『つきまとい等』の行為を、反復して行うこと。たとえば、相手の家の近くで何度も待ち伏せしたり、うろついたりすれば、ストーカー規制法2条1項、嫌がる相手に対して何度も電話をすれば、ストーカー規制法2条5項に違反します。
 
愛子さんは、別れてからも悟志さんのマンションに“何度も”つまり、反復して訪れているようですね。これはれっきとしたストーカー行為です」
 
いくら元恋人同士とはいえ、反復して相手のマンションを訪れるのは、ストーカー行為となるようだ。では、一方的なLINEのメッセージ送信はどうだろうか。
 

連続LINEもストーカーになるの?

尾崎弁護士「愛子さんは、メッセージを100件送ることによって自分の恋愛感情の大きさを悟志さんに伝えたかったのでしょう。しかし、嫌がる相手に対して、LINEやメールを何度も送信する行為もストーカー行為にあたります。少女漫画などで『下駄箱にラブレターを入れるシーン』がありますよね。あれも度が過ぎると、ストーカー行為になるのです」
 

愛と犯罪の境目はあいまいだが、決して「美談」では済まされない

とはいえ、恋愛は狂気が付きまとうものだ。そしてそれは、ときに美談として語られるケースもある。愛子さんのケースも、見方を変えれば、“一途な純愛”ともとれるのではないだろうか。しかしそのような“風潮”に尾崎弁護士は警鐘を鳴らす。

尾崎弁護士「愛と犯罪の境目はとてもあいまいです。『愛してると雨の中で待ち続ける』『彼のマンションの前で一夜を明かす』など、ひと昔前のトレンディドラマや映画、漫画の世界で美談とされていたことも、今ではストーカーとして逮捕されてしまいます。
 
ストーカーの最大の特徴は、殺人や傷害などのより深刻な犯罪にエスカレートしやすい点。ストーカーは、『好き』という気持ちが生み出す犯罪です。初めから憎しみしかない相手の家に押しかけても、法律上はストーカーにはなりません。抑えきれない『好き』が暴走したときに、『ストーカー』は生まれます。だからこそ、その『好き』が決して叶えられないと知ったとき、人々は耐え難い絶望から、より恐ろしい凶行に走るのです。
 
ストーカーの被害にあった際は、それがエスカレートする前に、なるべく早い段階で警察や弁護士に相談し、ご自身の身を守ってください。慰謝料など、民事的な損害賠償を請求することも可能です」
 
今回は結婚に焦りすぎたがゆえ、ストーカー化してしまった女性のケースを紹介した。別れ際にもめる男女は多い。しかし、ただの“もめごと”で済まされないケースも多いようだ。話し合いで解決しない場合は、第三者に相談するなど、早めの対策を心がけよう。


※回答者のコメントは原文ママ


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