「土壇場」という言葉は、切羽詰まっているときなどに用いられる傾向があります。しかし、「土壇場」と書いてなんと読むのか、皆さんは正しい読み方をご存じでしょうか? この記事では、「土壇場」について解説します。
・「土壇場」の正しい意味とは?
・「土壇場」の使い方と例文
・よく使われる「ドタキャン」の意味とは
・「土壇場」と「独壇場」の違い
・「土壇場」の英語表現
・「土壇場」の正しい意味を理解して使いこなそう
「土壇場」の正しい意味とは?
まず「土壇場(どたんば)」の意味は「決断を迫られる、最後の場面」からきているといわれています。
もともと「土壇場」とは、刑場で打首を行う台上に作った台のことを言いました。江戸時代には首切り刑場のことを「土壇場」といい進退窮まった場面のことを表す言葉となりました。
力士が勝負をする土俵にある「土俵際」も土壇場と同じ意味合いを持つものとされています。
「土壇場」の使い方と例文
土壇場は、「土壇場でキャンセルする」「土壇場に追い詰められる」と、ネガティブな場面で用いられることが多い言葉です。一方で、次のように「土壇場で巻き返す」などギリギリの状態で良い方向に進むことにも使われます。
劣勢から、勢いを取り戻して反撃する。「土壇場で―・す」
『デジタル大辞泉』(小学館)
よく使われる「ドタキャン」の意味とは
最近「土壇場」という言葉で最もよく使われるのが「ドタキャン」です。これは「土壇場でキャンセル」をするという意味です。ドタキャンの「ドタ」は、「土壇場(どたんば)」を略した「どた」。
「キャン」は、「キャンセル」の略である。
元々、ドタキャンは芸能界や放送業界、旅行業界などで用いられた業界用語であったが、1990年前後から一般でも使われるようになった。
『語源由来辞典』
このように、土壇場はギリギリのところで良い方向から悪い方向に、もしくは悪い方向から良い方向に変わる際に使われる言葉となっています。
「土壇場」と「独壇場」の違い
また、「土壇場」と似ている言葉で「独壇場」という言葉があります。こちらは「どくだんじょう」と読みます。
この独壇場という言葉は、正しくは「独擅場(どくせんじょう)」と言います。「擅」は、独り占めにする、ほしいままにする、という意味があります。団の中で一人だけ群を抜いて活躍しているさま、その人だけが思うままに振る舞い他の追随を許さないさま。
『実用日本語表現辞典』
壇と字が似ているため、土壇場と混同して現在のように変化したものが独壇場と呼ばれています。
「独擅場(どくせんじょう)」ですが、「擅<せん>」が「壇<だん>」と誤読されて、「どくだんじょう」という言い方が定着しました。今では表記も「独壇場」が一般化し、放送でも「独壇場(どくだんじょう)」を使っています。
(NHK放送文化研究所)
「土壇場」の英語表現
「土壇場」は、英語では、「Last minute」(最後の1分)や「Eleventh hour」(期限ぎりぎりの)と略され、切羽詰まった状態で最後の決断が迫られる際に用いられています。「土壇場」の正しい意味を理解して使いこなそう
「土壇場」の正しい読み方は「どたんば」です。
もともとは、刑場で打首を行う台上に作った台のことを言いました。土壇の場面で「どたんば」と読ませると分かりやすいかもしれません。
独壇場(どくだんじょう)と間違われやすいので読み分けには注意が必要です。この機会にぜひ、「土壇場」の本来の読み方を確認してみてください。