
同じ読み方の「陰」と「影」はどちらを使うべきなのか、分からない人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、「陰」と「影」の違いについて現役フリーアナウンサーの花崎阿弓が解説していきます。
<目次>
・「陰」と「蔭」の違いは?
・「陰」「影」「蔭」の例文
・「陰」と「影」は状況をイメージしながら使おう
漢字で「陰」と「影」の 違いとは?
「陰」と「影」は、両方とも物体が光を遮ることによって生じるものですが、微妙な違いがあります。「陰」は、物体が光を遮ることによってできる暗い領域を指します。例えば、建物や木の陰などが該当します。陰は物体の存在や形状を示すことができます。一方、
「影」は、物体が光源からの光を遮ることによってできる暗い形状を指します。例えば、物体が壁に映る影や、太陽光によってできる影などが該当します。影は物体の形状や位置を示すことができます。
つまり、「陰」は物体が光を遮ってできる暗い領域を指し、「影」は物体が光源からの光を遮ってできる暗い形状を指します。
「陰」と「蔭」の違いは?
「おかげさまです」という言葉で使われる漢字は「蔭」です。「蔭」は、「陰」に草冠がついた漢字になりますが、どちらの漢字も読み方は、音読みで「いん」、訓読みで「かげ」となっています。
「陰」は「蔭」に書き換えられることがあります。その逆もあり、「蔭」が「陰」に書き換えられることもあるのです。
結論として、「陰」の同音の書き換え漢字が「蔭」とされているので、どちらを用いても間違いではないといえるでしょう。
「陰」「影」「蔭」の例文
ここからは、「陰」「影」「蔭」それぞれの使い方を紹介します。【「陰」の例文】
・日陰
・建物の陰に隠れる
・陰で悪口を言う
・陰干し
【「影」の例文】
・夕日に影がのびる
・影が射す
・人の影がうつる
・影響を受ける
【「蔭」の例文】
・コーチのお蔭で優勝できた
・お蔭様で
常用漢字として用いられることが多いのは「陰」となっています。
「陰」に関しては、何かのものかげであったり何かに隠れていたりする場合などで使われることが多い漢字です。
また、「陰」は「影」と同語源となっています。
草冠がついていることからも推測できるかもしれませんが、木かげや草木のかげのときは「蔭」が使われます。このように、木のかげで休む際に「陰」を用いることも間違いではありません。
「陰」と「影」は状況をイメージしながら使おう
「陰」は太陽や月が雲などに遮られて日がかげっていることを「日が陰る」などといいます。
一方、「影」は物体により、光線の妨げられた暗い箇所のことを指しています。「陰」と「影」は状況を想像しながらマッチする漢字を使い分けるとよいでしょう。
さらに「蔭」の場合、「岩の蔭に潜む」など、影にいるというよりは潜んでいる表現の際に用います。
このように、「陰」と「影」、「蔭」では、ニュアンスが変わってきます。何かの影になったり隠れたりする様子を表すときに使う際は「陰」。「潜む」ときや、「〜のおかげです」と使われる言葉は「蔭」を使います。
どちらを書いても書き換え漢字として使われているので間違いではありませんが、このニュアンスの違いはチェックしておきましょう。
■執筆者プロフィール

兵庫県出身。武庫川女子大学を卒業後、ケーブルネット鈴鹿に入社。退社後は、静岡FM、FM栃木で情報番組やニュースを担当。これまでの出演経歴は、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)『有吉反省会』(日本テレビ系)『有吉ジャポン』(TBS系)『ナカイの窓』(日本テレビ系)『Abema prime NEWS』(AbemaTV)など。現在は、『横浜ユーポスラジオ』(ラジオ日本)『渋谷いきいき倶楽部』(渋谷のラジオ)などの情報番組を担当しています。