NHKは「日本人メンバーが在籍する」K-POPグループを選考している?
次に「日本人ではない歌手を出すべきではない」という声についても考えてみましょう。
今回の批判の中には「IVEやLE SSERAFIMは、少女時代やKARA、さらに今回出場するTWICEのように知名度の高いグループではないので出すべきではない」というものもありました。
この意見に着目してみると、「出場する歌手が外国人であること」自体を問題視しているわけではないということが分かります。過去に紅白に出演した経験のあるKARAや少女時代には、日本人のメンバーは1人もいないのです。
今回、紅白に出場するK-POPグループは、TWICE、IVE、LE SSERAFIM。この3組とも、日本人メンバーを含んでいます。IVEはレイ、LE SSERAFIMはサクラとカズハ、TWICEはサナ、モモ、ミナ。全員が各グループで人気のメンバーです。
筆者としては、この決定に際し、NHKは「日本人メンバーがいるグループ」を“意識的に選んだ”可能性が高いと感じています。
グラミー賞に3年連続でノミネートされたBTSが象徴するように、K-POPは今や世界的に人気を集めている音楽ジャンルの1つ。K-POPグループに在籍する日本人メンバーは、いわば「世界で活躍する日本人」と定義することができます。『NHK紅白歌合戦』という、日本国民の多くが注目する晴れ舞台で、日本人メンバーを含むK-POPグループを紹介したいというNHK側の目論見ゆえの選出だったのではないでしょうか。
このような理由から、『NHK紅白歌合戦』には「知名度のない歌手を出すべきではない」「日本人ではない歌手を出すべきではない」という2つの批判的主張が、必ずしもIVE、LE SSERAFIMに合致するとは思えないのです(もちろん、TWICEも同様です)。
紅白の醍醐味は「今まで知らなかった歌手との出会い」かもしれない
『NHK紅白歌合戦』出場の選考基準について、NHKは「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」の3点を挙げています。さらに「今年の活躍」の詳細として、以下の項目が記載されています。
A)CD・DVD・Blu-rayの売り上げ
B)インターネットでのダウンロード・ストリーミング・ミュージックビデオ再生回数・SNS等についての調査
C)有線・カラオケのリクエスト等についての調査
D)ライブやコンサートの実績
出場歌手の選出について、「演歌歌手など高齢者向けの歌手が少なく、若者向けの歌手が多い」という指摘も見られますが、NHKが掲げる上記の選考基準からも、若者に支持される歌手が多くなった背景を読み取ることができます。
選考基準自体の良し悪しや、その基準に照らし合わせた採用の良し悪しなど、議論は多々あるでしょう。事実「K-POPが多すぎる」という批判のほかに「ジャニーズが多すぎる」という批判も多く見られます。しかし、趣味が細分化したこの時代において、誰もが納得するラインナップを作るのは困難です。NHKとしては、出てほしい歌手に依頼しても断られることだってあるでしょう。
今まで述べてきた背景から、筆者がおすすめしたい紅白の楽しみ方は「自分は知らないけど、ほかの属性に支持されている人たちを知ること」です。それぞれの属性で支持される音楽・歌手はどういうものなのか、その多様性を知ることも紅白の醍醐味(だいごみ)なのではないでしょうか。
もしかしたら、知らずに初めて見た歌手を好きになるかもしれませんし、「見たけど、やっぱりイマイチだった」と感じるかもしれません。しかし、見ずに文句を言っていては、好きな歌手を増やす機会を失うことになってしまいます。
期待が高まる『第73回NHK紅白歌合戦』。年末に、新たな出会いのチャンスを楽しみませんか?
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