IVE、LE SSERAFIMの紅白出場が物議。NHKはなぜ“知名度の低い”K-POPグループを出場させるのか

11月16日に『第73回NHK紅白歌合戦』の出場歌手が発表されました。その中でも、K-POPグループの選出が話題に。特に、IVE、LE SSERAFIMの2組は、「知名度が低い外国の歌手を出すべきではないのではないか」という点で、議論が展開されているようです。

IVE  ※画像出典:プレスリリース

11月16日に『第73回NHK紅白歌合戦』の出場歌手が発表され、そのラインナップに注目が集まりました。
 
SNS上では、「なにわ男子」「JO1」「ウタ」といった歌手の初出場を喜ぶ声が広がる一方で、「知名度がないのになぜ出場させるのか?」など批判的な声を受けていた歌手も。主に矛先を向けられたのは、K-POPグループのIVE(アイヴ)とLE SSERAFIM(ル セラフィム)でした。
 
批判の理由をざっくりまとめると、以下の2点に集約されます。

・知名度のない歌手を出すべきではない
・日本人ではない歌手を出すべきではない

 
なるほど、これ自体は「もっとも」らしい理由にも思えます。

では、実際にこれらの批判がIVEとLE SSERAFIMに当てはまるのでしょうか?
 

現代は、そもそも「誰もが知っている歌手」が生まれにくい時代?

まずは「知名度のない歌手を出すべきではない」という批判について、探ってみましょう。

『NHK紅白歌合戦』といえば「大みそかに家族で観る番組」というのが、一般的な認識でした。「でした」と過去形を使ったように、過去と今では少し事情が違うように感じます。

以前は今よりも「誰もが知っている歌手」「その年に活躍した歌手」が出演し、幅広い世代が楽しめるものでした(知らない歌手もたくさんいましたし、ずっと昔のヒット曲を歌っている人もいましたが)。しかし時代が進み、パソコンやスマートフォンが普及すると、情報はマスメディアからだけではなく、インターネットからも得るように。

かつては、テレビや新聞などから一方向的に送られてくる情報を、家族が一様に得ていた時代。現代は、家族1人ひとりがスマートフォンを持ち、それぞれが自由に、好きなとき、好きな場所で、好きな情報を得る時代。結果として趣味嗜好(しこう)は細分化し、誰もが知っている歌手も生まれにくくなっていますよね。
 
では、そんな時代の中で、紅白はどんな歌手をそろえるのが良いのか。それは「細分化された範囲で人気のある歌手」なのではないでしょうか。
 

「IVE」は、Z世代の女性が選ぶ“2022年のトレンドランキング”を席巻


では、数々の流行に大きな影響をもたらす「若い世代」を中心としたトレンドランキングに注目してみましょう。
 
■SHIBUYA109 lab.トレンド大賞2022(※調査対象:15~24歳の女性564人/期間:9~10月)
SHIBUYA109エンタテイメントが運営する「SHIBUYA109 lab.」が実施したトレンド調査によると、アーティスト部門の1位にはIVEがランクイン。  

■2022年ティーンが選ぶトレンドランキング(調査対象:13~19歳の女性633人/期間:10月7~24日)
さらに、マイナビが運営する「マイナビティーンズラボ」が発表した「2022年ティーンが選ぶトレンドランキング」では、流行ったヒト部門でIVEが2位に。

■2022年秋の最新トレンド(※調査対象:15~18歳の男女100人/期間:9月16~30日)
さらに、アイ・エヌ・ジーが実施した「2022年秋の最新トレンド」による「今一番聴いている曲ランキング」では、『新時代』(ウタfrom ONE PIECE FILM RED/Ado)とともに、『After LIKE』(IVE)が1位にランクインしました。
 
また、各トレンド調査の“ポーズ部門”などで上位に入っている「ギャルピース」も、IVEの日本人メンバーであるレイが火付け役と言われており、IVEの影響力の強さがうかがえます。
 
このように、少なくともIVEは、高校生など若い世代の間でかなり認知度が高いと推測されるため、「人気がない」という評価は間違っているといえそうです。また、これらのランキングで名前の上がった、なにわ男子、Saucy Dog、Ado(ウタ)も『第73回NHK紅白歌合戦』に出場するので、NHKは若者に人気の歌手を調べ、出場者を選出している印象を受けます。
 

一方、LE SSERAFIMは、上記ランキングでその名を見つけることはできませんでした。しかし、日本人メンバーであるサクラこと宮脇咲良は、かつてAKBグループで活躍し、2014年にHKT48として紅白初出場、2016年にAKB48として再出場。今回が3度目となります。
 
ですので、前述したランキングの対象より少し上の世代にとっては認知度が高く、彼女の成長を見る機会としての価値が大きいといえそうです。


>次のページ:紅白出場のK-POPグループ3組に共通する“ある1つの要素”


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