大統領選挙やスポーツなどで耳にする「決選投票(けっせんとうひょう)」という言葉。「決戦」なのか「決選」なのか悩むことはありませんか?今回は「決戦」と「決選」の言葉を説明します。
<目次>
・そもそも「決選投票」とは?
・「決選」と「決戦」の意味は?
・「決選」は「決定選挙」の略
・「決戦」の正しい使い方と文例
・「決選投票」は選挙に関するときに使われる
そもそも「決選投票」とは?
決選投票とは、複数の候補者がいる選挙において、最終的な勝者を決めるために行われる投票のことです。通常、最初の投票で過半数の得票を得た候補者がいない場合に行われます。決選投票では、最も得票数の多かった候補者の中から最終的な勝者が選ばれます。
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「決選」と「決戦」の意味は?
「決選」を『三省堂国語辞典 第八版』(三省堂)で調べると
- 予選を通った者についておこなう最終の選考。本選。
- 決選投票。最初の投票で当選者がきまらないとき、上位の得票者ふたりについて、もう一度やり直す投票。
と説明があり、「最終的な決定の前に何度か選考があり、その後行われる、最終的に決めるための選考のこと」や、「選挙に関するものについて使われる」ことが分かります。
一方「決戦」は、
最後の勝敗を決める戦いと説明されています。
「決選」は「決定選挙」の略
「決選」が選挙について使われる言葉であることは分かりました。改めて『広辞苑 第七版』(岩波書店)で調べると、(決定選挙の略)何回かの選挙の後、最終的に当選者を決めること。
とあります。つまり、「決選」=「決定選挙」であり、「けっせん投票」の「けっせん」は「決選投票」であって「決戦投票」は誤りであることもはっきりしますね。
「決戦」の正しい使い方と例文
「決戦」は、- 決戦を挑む
- 短期決戦
- 天下分け目の決戦
- 決戦の火ぶたを切る
- 関ヶ原の決戦
というように、「最終的な勝敗を決定するために戦うこと、またその戦い」という意味で使われる言葉です。
スポーツの分野でも使われますが、用例に出したように、元々は戦いにまつわる言葉で、『ブリタニカ国際大百科事典 小項目版』によると、
戦争のある時期に行われ,戦いの結末に決定的な影響を与える戦闘。あるいは小戦闘、紛争がエスカレートして、当事国にとって決定的な全面戦にいたった場合に決戦という。現実には、一戦闘の結果が決定的な結果をもたらすより、他の多くの要因が重なって戦争の勝敗が分れるので、政府または軍の指導層が、国内向け宣伝や、敵国向け心理戦の一手段としてこの言葉を使うことが多かった。と説明されています。その戦いの結末、そしてその後に大きな影響を与える戦いが「決戦」ということですね。
「決選投票」は選挙に関する用語
「決選」は、最終的な決定の前に何度か選考があり、その後行われる、最終的に決めるための選考のことや、選挙に関するものについて使われる言葉です。「決戦」は、最終的な勝敗を決定するために戦うこと、またその戦いを指します。
同じような場面で使われるこれらの言葉、ぜひ正しい使い方をこの機会に覚えてください。