「上手」という字は、学習指導要領でも小学1年生で習う漢字で難しくはありませんが、いくつか読み方があり、じっくり考えるととても奥が深い字です。主な読み方としては「うわて」「かみて」「じょうず」がありますね。
今回はこの中で「うわて」と「かみて」の使い分けについてお伝えします。
<目次>
・「上手(うわて)」の意味
・「上手(かみて)」の意味
・正しい「上手(うわて)」の使い方と例文
・正しい「上手(かみて)」の使い方と例文
・「上手」の意味を理解して使い分けよう
「上手(うわて)」の意味
「上手(うわて)」は、何かをうまくできることや、技術や能力が高いことを表します。例えば、スポーツや音楽、絵画などの分野で上手と言われると、その人がその分野で優れた技術や才能を持っていることを意味します。また、日常生活でも、料理が上手だったり、人とのコミュニケーションが上手だったりすることもあります。
「上手(かみて)」の意味
「上手(かみて)」は、物事をうまくやることや、技術や能力が優れていることを表す言葉であると同時に、物事の上部や上方にあることも表します。
では、それぞれの正しい使い方や例文を見ていきましょう。
正しい「上手(うわて)」の使い方と例文
「うわて」は、特に川上や風上などの「上のほう」という「方向」を表すときと、「技能や手段」に関することを述べるときに使うと考えて良いでしょう。
使い方の例としては
- 風の上手(うわて)にまわる。
- 彼の方が君より一枚上手(うわて)だ。
- 上手(うわて)を取って、有利な体勢に持ち込み寄り切りで勝ち星を挙げた。
- あの投手は上手(うわて)投げだ。
正しい「上手(かみて)」の使い方と例文
一方「かみて」は「場所」に関すること、と覚えておくと良いでしょう。「かみて」も「上のほう」を表すときに使いますが、『新明解国語辞典』(三省堂)でも「かみて」は「川の上流の方」と「川」に限定されて説明され、「うわて」には「川上(風上)の方」とあえて記述があることから、風上に関しては「かみて」ではなく「うわて」を使うと考えると良さそうです。
使い方の例としては、
- 川の上手(かみて)にある町。
- この劇の主役は、最初に上手(かみて)から登場する。
などがあります。
ちなみに、「手」という字には「方向」という意味もあります。
さて、この芝居に関する場所を示す「かみて」はどうしてそう呼ばれるようになったのか。諸説ありますが、
- 東側に偉い人が座る
- 昔は舞台は南向きに造っていた
- 歌舞伎で舞台用語として広まった
などの理由が挙げられます。
日本でかつて照明設備がない頃は、より太陽の光が当たる南向きに舞台を作っていました。昔から、太陽が昇る東側に身分の高い人が座っていました。つまり、舞台の構造上演じている人も南に向いており、身分の高い人は東側となると「演じている人から見て左」がより上等な方、つまり上手(かみて)になったということです。
歌舞伎に関して、歌舞伎役者さんに聞いてみたことろ、「下手(しもて)」に出入りの多い花道があって舞台上で玄関などになり、上手側が座敷の奥の間に当たることになるので位の上の人が主に位置することになる。そのため、上座となるので「上手」であると聞いたことがあるとのことでした。
落語でも、「上手」を向いて話しているときの相手は、身分の高い人や年上の人であり、さらに家の中に入る動作をする方向で、「下手」を向いて話しているときの相手は、身分の低い人や年下の人、そして家から出ていく動作をする方向となります。
「上手」の意味を理解して使い分けよう
「上手」の読み方「うわて」「かみて」。掘り下げるとさらに知識が広がっていく面白さも感じていただけたのではないでしょうか。関連記事:覚えておきたい同音異義語の一覧! 間違いやすい同音異義語の見分け方をアナウンサーが解説