2022年7月、コロナ禍のため約3年ぶりに祖国の地に降り立った筆者ですが、台湾周辺が緊迫の度合いを増すなか、有事になる前にと10月頭に再び帰国しました。
ところが、前回久しぶりのニッポンを満喫したおのぼりさん帰国とは異なり、今回はさまざまな場面で逆カルチャーショックに遭遇する、驚きに満ちた日本滞在となりました。なかでもとりわけ驚愕したこと3選を紹介したいと思います。
衝撃その1.「優しそう」な警備員さん
新幹線の車内や商業施設などで勤務する警備員さんが、まず最初の衝撃でした。
というのも、大半が柔和な物腰と雰囲気で、小柄、痩躯、肥満気味、白髪で年配の人なども散見されたからです。ヨーロッパでも高級ホテルやショッピングセンター、ラグジュアリーブランドにはセキュリティスタッフが常駐していますが、揃いもそろって強面で、威圧感たっぷりの人ばかり。常に周囲を睥睨(へいげい)しながら、隆々たる巨躯をことさら誇示するように立っています。
特に空港や主要駅ターミナル、クリスマスマーケットといったイベント会場など、テロの標的たりえる場所では、自動小銃を抱えた臨戦態勢の軍人たちが隊列を組んで巡回しており、日本の警備体制とは天と地ほどの差と言えます。
その様子に私は、「平和な国ニッポン」の警備員さんたちは、凶悪犯罪を阻止するというよりも、客の誘導や施設の巡回、客同士のトラブル仲裁などが期待されているような印象を受けました。物々しい警備が必要ないのは無上のぜいたくだと思う半面、去る7月の安倍元首相の暗殺事件を筆頭に物騒な事件も各地で散発しているようですから、油断のし過ぎは禁物……とも言えそうです。
衝撃その2. 乗車時の不思議なルール
都会の駅のホームでは、整然と列に並んで電車を待つ人々の規律性に、帰国するたびに舌を巻かされます。というのも、私が暮らすヨーロッパでは、航空機の搭乗時以外に列をなして乗車する人など、ついぞ見たことがないからです。
しかし日本では、誰もがお行儀よく並ぶ半面、いざ乗車開始の瞬間からは、ルールが「早い者勝ち」に一変する矛盾に気付いている人はどれほどいるでしょう。マナーよく並ぶ人々を見て感心した次の刹那には、サラリーマンのみならず、学生風の若い男性までもがそそくさと椅子取りゲームに勤しむそのギャップはまさに驚愕に値します。
少ない座席めがけて小走りに先を競うさまを見るにつけ、日本人は果たして評判通り礼儀正しく慎ましやかなのか、人の目もはばからず欲望を露わにする国民性なのか、外国人目線で見ると、当惑を禁じ得ないシーンと言ってよいでしょう。
衝撃その3. 女性を押しのける男性
これも電車の乗降時の出来事ですが、とある駅で電車に乗った私を押しのけようとした乗客がいました。後から乗り込んできて、お目当ての立ち位置を確保すべく、前にいた私を押しやろうと試みたものの、それが裏目に出て失敗。悔し紛れの大きな舌打ちが聞こえたので、驚いて見ると、なんと若い男性がこちらをにらんでいました。場所取りの動作はとても機敏でしたし、私より体力もありそうなので、女性を押しのけてまで立ちやすい場所を必要としているとも思えません。
日本在住時にはあまり疑問に思いませんでしたが、男性が女性を押しのけるのはレディーファーストに反する行為。西洋社会では殊のほか見苦しいとされ、侮蔑の眼差しを向けられかねないと、ヨーロッパに長く住むなかで痛感していましたので、久しぶりにこのような振る舞いに遭い、大変なショックを受けました。
日本人がみんな円満に暮らしているのであれば、そのままでよいと思います。しかし、もしお子さまを国際舞台で活躍させるべく英語などの外国語教育に力を入れている親御さんがいらしたら、ぜひレディーファーストの習慣も教えてあげた方がよいのでは……と感じました。
今回の帰国では、久しぶりに祖国で数々の逆カルチャーショックに遭い、なかには驚愕するような経験も含まれました。しかし、その衝撃を払拭して余りあるほど、親切で礼儀正しい人たちとの出会いや、素晴らしい体験をさせていただいたのも事実です。これから増えるであろう訪日外国人観光客の皆さんにも、日本って魅力ある素晴らしい国だな、と思ってもらえるような国にしていきたいですね。
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