海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン 第6回

マスク着用率は夏でも高いのに? ヨーロッパ在住の日本人が帰国して驚いた、日本独自のコロナ対策

ヨーロッパ在住の筆者は、この夏、コロナ禍以来じつに3年ぶりの弾丸帰国を果たしました。そして驚いた、ヨーロッパとは随分違う日本独自のコロナ対策とは……。

この夏、コロナ禍以来、約3年ぶりの日本帰国が叶いました。久しぶりすぎて、見るもの触れるものがすべて新鮮で、お上りさん状態になるのも構わず滞在を満喫しましたが、その中で、ヨーロッパ在住の筆者から見て日本のコロナ対策に「何だかなぁ」と疑問を感じたことがありました。
 
 

日本人のマスク着用率の高さ、一方で……

まず、この酷暑にもかかわらず、屋内はいわずもがな、屋外ですらマスク着用率が体感90%ほど。ユニバーサルスタジオでもマスク必須でしたし、ディズニーランドにいたっては、マスク非着用者がひとりでも混じっていようものなら、ライド中に撮影された記念写真の販売を行わないほどの厳格さ。どこでも徹底したコロナ対策が講じられているのかと思いきや……。
 

そもそもコロナウイルスは、マスクやアクリル板で軽減できると一般的に信じられている「空気・飛沫感染」に加え、「接触感染」もあるはずなのに、後者はまるでザル状態なのです。誰もが「手洗い・除菌」はするものの、それ以外の接触感染に対する警戒心はかなり薄そうで、空気・飛沫感染対策の徹底ぶりとのあまりのギャップに衝撃を受けました。
 

カード決済が「非接触」じゃない?

例えば、ヨーロッパでは2020年のコロナ禍開始直後から、現金決済がしばし禁忌となり、クレジットカードやデビットカードもすぐに非接触タイプのものに切り替わりました。当時うっかり従来のカードを差し出そうものなら、露骨に怪訝な顔をされましたし、どこへ行っても「スマホ決済アプリはお持ちですか?」の嵐で、ノイローゼになりそうだとボヤく友人もいたほど。
 

他方で、日本ではいまだに多くの店舗や駅の券売機などで、現金決済が幅を利かせているうえ、カードを切ろうものなら、決済時に端末への差し込みに加え、暗証番号のタッチ入力を求められることが珍しくありません。さらに、スマホ決済は日本独自のガラパゴスアプリも多いため、結局現金やクレジットカードに頼らざるを得ません。
 

「オモテナシ」精神が裏目に……

さらに、「オモテナシ」の心が高じるあまり、どこのお店でも会計時に店員さんが、わざわざ私のカードを手にとり(ベタベタ触って)、ご丁寧に決済端末に差し込んでくれようとします(挿入くらい自分でできます)。携帯電話のショップなどでも同様で、端末操作を進めるにあたり、私のスマホ画面に許可なく触ろうとする人が多いことには、閉口しました。
 

ホスピタリティが世界一と称される日本。良いサービスには概して対価が伴う、世知辛いヨーロッパ在住の身としては、その温かい心遣いに普段は涙の滲む思いなのですが……。今回の件では、正直なところ、
 

「屋外でまでマスクする前に、もっと接触感染に気を配って!!!」
 

というのが本音でした。
 

昨今の感染拡大が連日報道される中、マスク着用をあれだけ徹底する意識の高さがあるのなら、もう少し接触感染防止を狙ったインフラ整備や意識改革もしてみた方がよいのではないでしょうか?


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