「デジタル教科書」の整備率、地域差が浮き彫りに……教員のICT指導力にも差が?

文部科学省が発表した「令和3年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果【速報値】」によると、デジタル教科書の整備率は指導用/学習者用ともに過去最高になっていた一方、地域格差を見ると……。

指導力向上には研修の受講率アップが必要か

続いて、教員のICT活用指導力を見ていきましょう。
 

教材研究、指導の準備、評価、校務などにICTを活用する能力は全国平均で87.5%、授業にICTを活用して指導する能力は75.2%、児童生徒のICT活用を指導する能力は77.3%、情報活用の基盤となる知識や態度について指導する能力は86.0%であり、いずれも前年度より微増しました。

児童生徒のICT活用を指導する能力(出典:文部科学省の調査結果より)

児童生徒のICT活用を指導する能力を都道府県別に見てみると、「できる」「ややできる」の教員の割合は、トップ3が愛媛県(92.6%)、徳島県(90.7%)、岡山県(86.4%)。低い方は、滋賀県・福岡県(各72.2%)、島根県(68.6%)でした。
 

都道府県別に見る児童生徒のICT活用を指導する能力TOP3(出典:文部科学省の調査結果を基にオールアバウトが作成)


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2021年度中にICT活用指導力の状況の各項目に関する研修を受講した教員の割合を見ると、先ほど上位だった愛媛県は95.8%、徳島県は89.6%、岡山県は83.9%など、全体の中でも高めでした。能力の高さと研修受講率にはある程度の相関関係が見られ、能力を高めるためには研修の受講率を高めることが効果的と言えそうです。
 

調査から分かるように、GIGAスクール構想によって、全国の小中学生への1人1台端末の導入や環境の整備などは進みました。しかし、地域格差は大きく、教員による差も大きそうです。どの地域で学んだかによって児童生徒の学びに差が出てしまうことは避けたいことです。それぞれの都道府県が十分ではない項目に力を入れ、改善していく必要があるでしょう。


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【関連リンク】
令和3年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果【速報値】(文部科学省)
 

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