「デジタル教科書」の整備率、地域差が浮き彫りに……教員のICT指導力にも差が?

文部科学省が発表した「令和3年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果【速報値】」によると、デジタル教科書の整備率は指導用/学習者用ともに過去最高になっていた一方、地域格差を見ると……。

「デジタル教科書」の整備率が最も高い都道府県は?(画像はイメージ)

文部科学省は8月31日、「令和3年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果【速報値】」を発表しました。
 

全国の公立学校(小学校と中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)を対象とした「ICT環境の整備状況」、全国の公立学校の授業を担当している全教員を対象とした「教員のICT活用指導力」からなります。結果から見えるのは、大きな地域格差です。


>「デジタル教科書」整備率、都道府県別の全ランキング結果を見る
 

学習者用デジタル教科書整備率で倍以上の差も

学校における主なICT環境の整備状況推移を見ていきましょう。
 

教育用コンピュータ1台当たり児童生徒数は0.9人/台、普通教室の無線LAN整備率は93.3%、インターネット接続率は98.8%、普通教室の大型提示装置整備率は81.9%、教員の校務用コンピュータ整備率は125.4%、統合型校務支援システム整備率は79.9%でした。全て前年度より増加し、過去最高となりました。
 

学校における主なICT環境の整備状況等の推移(出典:文部科学省の調査結果より)


・都道府県のトップは和歌山県と福岡県
指導者用デジタル教科書整備率は81.2%、学習者用デジタル教科書整備率は35.9%でした。学習者用デジタル教科書整備率を都道府県別に見ると、トップは和歌山県と福岡県(各49.1%)、続いて岡山県(48.5%)でした。一方、整備率が低い県は宮崎県(22%)、愛知県(20.8%)、香川県(19.9%)となりました。一番高い県は、一番低い県の倍以上という差がついているのです。

都道府県別に見る学習者用「デジタル教科書」整備率TOP3(出典:文部科学省の調査結果を基にオールアバウトが作成)


>47都道府県の全ランキング結果を見る

ただし、デジタル教科書整備率が高い都道府県が遠隔教育実施率も高いわけではなく、ばらつきが見られました。例えばデジタル教科書整備率最下位の香川県は遠隔教育実施率は62.9%に上り、デジタル教科書整備率トップの和歌山県の58.6%よりも高くなっています。都道府県ごとに力を入れているものが異なっていると考えられるでしょう。
 

全体的にコンピュータや無線LAN、インターネット接続などの環境整備は進んでいる一方で、デジタル教科書整備率は依然低く、これからの課題と言えそうです。


>次ページ:無線LAN整備率、ネット接続率でも高い地域差

 

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