「その人が持つ唯一無二の経験で評価すれば格差はなくなると思います」
日本の小中高生の夏休みも終わろうかという8月下旬。突如、10カ月も前の選挙特番におけるテレビコメンテーターの発言がぶり返し炎上した。
「学歴社会こそが経済格差の原因であると思います。だからこそ、人を評価する判断基準は学歴ではなく、その人個人が持つ唯一無二の経験。いつからでも、自分の頑張り次第で結果も生み出せて、収入格差がなくなると思います」
そう発言したのは、World Road共同代表取締役で、青年版ダボス会議日本代表、さらに現在はTBS「サンデーモーニング」のコメンテーターとして「あらー、えらいしっかりしたこと言わはるけど、あの美人さんはどこの誰?」と日曜全国のお茶の間の中高年をキャッキャザワザワさせている平原依文(ひらはら・いぶん)さんだ。
現在28歳。まさに自身も幼い頃から中国・カナダ・メキシコ・スペインといくつもの国へ留学経験を積み、世界中に友人を作り、「唯一無二の経験」を携えて早稲田大学国際教養学部を卒業、新卒でジョンソン・エンド・ジョンソンへ入社した。
その後、スペインバルでアルバイトをしていた頃の常連客だった元グーグルのピョートル・グジバチ氏にたまたま誘われ、長年の夢であった「年齢、世代、国籍、あらゆる境界線を溶かし、みんなが先生、生徒になれるような学校づくり」を実現するためにグジバチ氏設立のプロノイア・グループへ転職。幅広い世代へのSDGs教育のため「地球をひとつの学校にする」をミッションに掲げるWorld Roadを設立した、という。
自分の頑張りと大切な人たちとの運命的な出会いで長年の夢を実現した彼女は、実は自身を含めたった3人の社員という少数精鋭の同社を、国際人としての嗜みと国内外の広い人材ネットワーク、そしてスマートな経営術で切り盛りし、大企業などの法人クライアント向けにはSDGsのコンサルティング・ブランディング事業、教育機関向けには授業を行うという教育事業を展開して目を見張るようなバリューを上げ、今日も着々と国境を溶かし、地球をひとつの学校へ近づけている、そうだ。
Googleはこうサジェストした「平原依文 お花畑」
だが私のGoogleは「平原依文」と入力したら、続いて「お花畑(世間知らずで夢見がちであることを揶揄する言葉)」なんてサジェストしてくるのである※。これは彼女の発言が8月にTwitter炎上した際、「親が巨額の留学費用を出してくれるような、恵まれた環境で育ったお嬢のお花畑発言」と、さんざん批判された結果だ。
「実家が太いヤツに『経験で評価して』なんて言われてもな」
「一芸入試とか、AO入試的な話でしょ。それを社会の主流にしたら、経験なんて言ってられない貧困家庭の子どもはどうするんだよ」
「大学入試や新卒採用で評価してもらえるような素敵な『経験』は、ほぼほぼ親の金で買ったもの」
「評価者にウケる『経験』へのアクセスは都会か田舎かでも全然違うし、生まれ持ったもので差がついちゃう評価って恣意的で、不公平じゃない?」
「経験主義こそ格差が大きいよ。むしろペーパーテストで高得点取った順に評価されるシステムの方が、勉強さえすればいいんだからよっぽどシンプルで平等」
「ちゃんと勉強して、テストできちんと点数が取れるという当たり前の能力が、すごく過小評価されるようになっちゃった世の中だよね」
まさに2020年代の新概念である「親ガチャ」論議を刺激し、経験評価主義の選抜システムで認められるのは実はとてもコストのかかることで、しかも主観的なものだ、という印象を深めてしまう結果となったのだった。
>次ページ:「経験主義」は、豊かな時代、豊かな社会ならではの価値観?
(※ 2022年9月14日正午頃検索の情報)
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