デートや婚活、結婚式……恋愛や結婚にはお金がかかる。特に現代社会においては、働き方や生き方の多様化が進み、恋愛とお金に対する価値観も変容している。本連載では、これからの「恋愛とお金」について、アラサーの恋愛ライター・毒島サチコが取材をもとに考察。第9回は「価値観の相違」について紹介する(第8回はこちら)。
価値観を重要視しているのに、価値観の不一致で別れるカップルの矛盾
2022年8月にバチェラーデートがユーザーの男女1411人に実施したアンケート結果によると、交際相手に「価値観を重要視」すると回答した人のうち、約7割(65.2%)が、交際相手と別れる原因に「価値観の不一致」を挙げている事が分かった。なぜ、価値観が重要としながらも、価値観の不一致で別れる“矛盾”が発生するのだろうか。
「恋は盲目」の先にある価値観の相違
「彼氏と別れた原因は金銭感覚の違いです」こう話すのは、ナツミさん(仮名・29歳)だ。彼女は、3年前、仕事で知り合ったユウキさん(仮名・当時32歳)と何度か食事をし、付き合うことになったという。
「ユウキの仕事に対する考え方が自分と似ていて、一緒にいてすごく居心地が良かったんです」
「仕事に対する価値観が合う」という理由で付き合い始めた2人。だが付き合って数カ月すると、ユウキさんのお金に対する価値観について違和感を抱くようになる。
「好きな食べ物の趣味も合うし、付き合いたてのときは”結婚“も考えていました。でも、ユウキにはお金のかかる趣味があって。それが、“靴集め”」
ユウキさんは、レアスニーカーを買うための抽選に毎回参加し、抽選に外れた際は、オークションサイトのプレミアム価格で購入していたという。
「プレ値(プレミアム価格)だと、余裕で10万円を超えて。レアスニーカーを何十足も集めて、部屋に飾っていました。『一足で10万越え? 高っ!』と、私は思っていたのですが、ユウキは『これ、10万だよ? 安いわ~』と言っていて。趣味は人それぞれだし、彼が稼いだお金でやっていることなので、そこまで気にしていなかったのですが……」
1000円のランチは高くて10万円の靴は安い?
「付き合って数カ月たったある日、私が1200円のサラダのランチを頼んだんです。そしたらユウキが『サラダで1200円? 高っ!』と言ってきて」ランチは500円程度で済ませるユウキさんからすると、普段の『ランチで1000円越え』はぜいたくだと感じたそうだ。
「仕事の合間に、おいしいランチを食べたい派の私からすると、この出費は重要。それに、カフェ巡りは私の趣味。でもユウキは、ランチに1000円以上使うのが理解できない、としきりに言いました。私からすると、『1000円のランチは高くて、10万円の靴は安い』というユウキが理解できなくて、言い合いになってしまった」
結局2人は、金銭感覚のずれが原因で別れることになった。
「付き合ってるときは、財布が別々だけど、この先結婚して、靴には数十万使うのに、ランチの1000円に文句を言われたらいやだなあと思って……」
ナツミさんに「金銭感覚について、付き合う前にすり合わせできなかったのか」と問うと。
「付き合う前のディナーデートだけでは、金銭的な部分は分からなかったし、最初から金銭面に触れるのってなんかいやらしく感じてしまって。
でも、その“言いにくいこと”こそ、付き合っていく上で大事なことなんだな、と思います。10万円以上するスニーカーを集めるユウキは『結婚に向かなそう』と頭では思っていたけれど、好きだったから、気にならない”フリ”をしていたんですね、最初は(笑)」
「これだけは嫌!」は事前に伝えておく
恋愛初期、ナツミさんのように「好きだから気にならない“フリ”をしていた」ということは多々ある。先日、同棲を解消した筆者の友人がこんなことを言っていた。
「私は外着でベッドに上がられるのが絶対嫌なんだよね。お互いのマンションを行き来してたときは、私のベッドに私服で上がられても、“好きだから”我慢できてたけどさ。同棲してしばらくたつと、我慢できなくなる。やめて!って言っても、飲んで帰ってきたらそのまま寝るしさぁ」
恋愛初期、相手の「いいところ」ばかりを見つけて「嫌なところ」には目をつぶってしまう。
その「恋は盲目」状態が、恋愛の醍醐味(だいごみ)でもあるが、長期的な恋愛関係を築くために必要なのは「いいところ」ではなく「嫌なところ」を早い段階で知り、互いの価値観をすり合わせることなのかもしれない。
※回答者のコメントは原文ママです
【おすすめ記事】
・「サイゼリヤでデート」論争。“試されている感覚”に嫌悪する女性たち
・LINE Payでデート代を後日請求されて…付き合う前の「割り勘問題」の正解は?
・1LDK、家賃23万で同棲計画。初期費用で「彼の貯金額」が発覚して…
・結婚相手に「年収600万以上」は高望み? 玉のこし婚を諦めた女性のリアル
・「女の幸せは結婚?」帰省すると“浦島太郎”感を覚える。親との価値観のギャップに悩む独身アラサーが急増
【関連リンク】
・プレスリリース