「女の幸せは結婚?」帰省すると“浦島太郎”感を覚える。親との価値観のギャップに悩む独身アラサーが急増

コロナ禍で帰省が悩まれる昨今、独身アラサー女性の中には「コロナを理由に帰省を見送れてホッとしている」人も増えている。「都心部」と「地方」の結婚観に対するギャップ、親からの「結婚はまだ?」というプレッシャーが、帰省を踏みとどまらせる大きな理由になっているのだ。


コネヒトが、2022年7月31日〜8月2日の期間に実施した「2022年夏休み・お盆シーズンの過ごし方」に関する調査結果によると、夏休み・お盆に「帰省・旅行の予定はない」と回答した人は約6割(有効回答数:1555件)。コロナの感染者増加を受け、帰省を見送る人が多い一方で、独身のアラサー女性からは「コロナを理由に帰省を見送れてホッとしている」という声もあるようだ。

 

友人の結婚や育児。帰省すると“浦島太郎”の気分に……

「3年ぶりだね!みんな元気そうでよかった!」
 
2022年、30歳のお正月。筆者は東京から帰省し、3年ぶりに地元・愛媛に住む高校時代のクラスメイトと会った。コロナ禍で会えなかった旧友との再会を喜びながら、いつものようにビールを頼もうとすると……
 
A子「あ、私オレンジジュース! 息子を迎えに行かなきゃいけないから」
B子「私も! まだ授乳中だからウーロン茶で」
C子「私もウーロン茶で! 実は妊娠して……来月結婚するんだ」
 
さらに「サチコ(筆者)は気にせずビール飲んでいいよ!」と気遣いながら、C子は「数年前まで結婚する気なかったんだけどさ。職場の独身ウチだけになって。旦那は街コンで出会った人だよ」と語る。
 
友人たちは結婚し、子どもまでいる。一方、独身の筆者は今も学生時代と変わらない生活を送っている……なんだか浦島太郎になった気分だった。
 
旧友との再会はうれしかったものの、育児の話についていけず「早く東京に戻りたい」と思ってしまった。東京に戻れば、友人の半数以上が独身だ。
 

「都心部」と「地方」の結婚観に対するギャップ

 都心部では、ライフスタイルの多様化が進んでおり、地方に比べると、結婚に対するプレッシャーは少ない。
 
厚労省が発表した厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況」によると女性の平均初婚年齢の全国平均は、29.4歳。一方、東京の女性の平均初婚年齢は、30.4歳。都市部では平均初婚年齢が高いというデータが顕著に出ている。
 
「お盆や正月、地元にはあんまり帰りたくない。20代後半から『結婚はまだか』って親にプレッシャーをかけられるようになって」
 
こう話すのは、好美さん(仮名・32歳)だ。
 
「実はコロナを理由に帰省が減ってホッとしてるんです。帰省するたびに、両親に『いい人はいるんか?』とか、『いないなら帰ってきたら?』と言われるので」
 
好美さんは、大学進学と共に上京。現在、東京のIT会社に勤めているが、九州にいる両親に、仕事のことを理解してもらえないのも悩みだという。
 
「IT? なにそれ? 変な会社じゃないのか、とか言われたり。ネットやTVなどで、IT化についての情報も目にするようになったので、前よりは理解があるようですが……。それでも公務員の父と、専業主婦の母には私の仕事内容が分からない。

最近のLINEも『〇〇ちゃんが結婚した』『子どもを産んだ』『マイホームを建てた』みたいな話ばかりです。
 
……ちなみに。私は、お堅い両親に紹介できるようなタイプの男の人と付き合ったことはなく(笑)。毎回好きになって付き合うのは、ヒモ気質の男性なので(笑)、どっちにしろ紹介できない。
 
私自身結婚願望も、子どもを産みたいと強く思ったこともないので、そうやって親に干渉されるのが嫌で、ここ数年はコロナを理由に帰ってないですね」
 
好美さんは、帰省するたび、親からの結婚に対するプレッシャーを感じるのだという。
 
「私は結婚したいと思わないのに、『結婚するのが当たり前』『結婚が女の幸せ』という価値観を押し付けてくる田舎の両親とは距離を置きたくなる」

 

「東京は婚活沼」結婚願望はあるけど、実家に帰りたくないアラサーも 

好美さんのように、親の結婚観の押し付けが理由で帰省したくないという意見がある一方で、自分も結婚したいとは思っているけれど、うまくいかなくて、帰省をしなかったという声もある。
 
「田舎の狭い世界が嫌で東京に来たのに。東京で結婚するのは難しい」
 
こう語るのは美佐子さん(30歳・仮名)だ。彼女は大学進学とともに四国から上京した。現在は出版社に勤めている。
 
「結婚前提の彼氏がいたんですが、28歳で別れました。それからマッチングアプリをやって何人かと会ったのですが、年齢も年齢だし、付き合いに失敗したくない。そう思うと、『この人よりいい人がいるかもしれない』という気持ちになってなかなか関係が進展せず……。

地元にいたらそもそも男性の母数が少ないから、『この中から選ぶ・選ばれるしかない』って思うんだろうけど、東京は人が多すぎて、『もっといい人がいるかも』って思っちゃう。気づいたら30歳、みたいな。でも周りもそんな感じなので、居心地が悪く感じることはないです。
 
一方、地元に戻ると、旧友はみな結婚していて。話も合わないし、両親も『〇〇君(元カレ)はいい子だったのにね~』と言ってくるのでなおさら焦るというか……いい人が見つかるまでは帰省したくない。『まだいい人見つからないの?』って親に言われると、『いや、そんな簡単じゃないわ!』って」
 
好美さんも美佐子さんも「コロナを“帰省できない理由”にしている」と語る。
 

親からの「結婚まだ?」がストレス=独身女性にとっての“共通認識”に

お盆や正月シーズンの「結婚まだ?」は、アラサー独身女性にとって大きなストレスとなる。どのように対処するのがいいのだろうか。
 
とある匿名掲示板で、40代の女性が「30代の頃は、ずっと『結婚しろ』とうるさかった親も、適当にスルーし続けたら、何も言わなくなった」と語っていた。
 
「結婚はまだ?」という言葉には、「娘が1人だと心配だ」「孫が見たい」という気持ちが含まれている。どちらにしろ親なりの“娘を思って”の言葉であることが多い。

しかし、子どもにとってそれが、“価値観の押し付け”だと感じてしまうこともあるのだ。自分の“幸せ”を決めるのは自分だ。外野に耳を傾け過ぎず、後悔しない生き方を選択したい。


※回答者のコメントは原文ママです


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