6月なのに40℃超えの「危険な暑さ」も! 早すぎる「梅雨明け」、この先の天気はどうなる?

関東甲信をはじめ西日本や東日本を中心に早すぎる「梅雨明け」が話題になっていますが、梅雨が終わったから大雨の心配がなくなったとは言い切れません。その理由を気象予報士の片山美紀が解説します。

史上最早の「梅雨明け」、心配な水不足

まだ6月だというのに、東京では真夏のような青空が広がり、猛烈な暑さが続いています。「今年の梅雨はあまりにも短かった」「急に夏がやってきた」と早すぎる梅雨明けと急激な暑さに驚く声がいたるところから聞こえてきます。
 

先週末から太平洋高気圧の本州付近への張り出しが平年よりも強くなり、気象庁は6月27日に関東甲信、東海、九州南部、28日には九州北部、四国、中国、近畿、北陸で、29日には東北南部で梅雨明けしたとみられると発表しました(6月29日時点)。いずれの地域も平年に比べて3週間前後も早い発表でした。
 

太平洋高気圧の勢力が強まり関東甲信・東海・九州南部で梅雨明けした
太平洋高気圧の勢力が強まり関東甲信・東海・九州南部で梅雨明けした
 

東海地方はたったの13日間!?

梅雨明けは速報値として出され、毎年9月に見直しが行われるため変わる可能性もありますが、現段階で関東甲信などは統計がある1951年以降、最も早い梅雨明けになりました。
 

梅雨入りは平年と同じか遅かった地域が多かったため、梅雨の期間は極端に短くなったところが多く、東海地方ではたったの13日間だけで、関東甲信も3週間ほどしかありませんでした。梅雨はジメジメとして不快だから短ければそれでいいという声もありますが、短すぎる梅雨は深刻な問題を引き起こすおそれがあります。
 

「四国の水がめ」は貯水率30%台に低下

2022年は梅雨入りしてからも梅雨前線が日本付近に停滞しにくかったため、西日本を中心に梅雨の期間の降水量は平年に比べて極端に少なくなりました。香川県高松では、梅雨の期間に当たる6月13日から27日までの間で、たったの27ミリしか雨が降っていません。「四国の水がめ」とよばれる高知県・吉野川上流にある早明浦ダムでは貯水率が29日0時の時点で35.1%まで下がっています。平年に比べておよそ50ポイント下回っていて水不足が心配されています。
 

6月なのに40℃超えの「危険な暑さ」 

記録的に早い梅雨明けと同時に話題になっているのが、猛烈な暑さです。6月25日には群馬県伊勢崎市で40.2℃を観測し、6月の最高気温の記録を更新しました。
 

近年、毎年のように国内のどこかの地点で40℃を超える気温が観測されていますが、6月中に40℃に達したことはこれまでにありませんでした。この暑さの原因は、太平洋高気圧が平年に比べ勢力を強めたことや上空に真夏並みの空気が流れ込んだことなどです。その後も太平洋高気圧の日本付近への張り出しが強い状態は続いていて、各地で危険な暑さになっています。
 

ちなみに、国内の観測史上最も高い気温は、埼玉県熊谷市(2018年7月23日)と静岡県浜松市(2020年8月17日)で観測した41.1℃です。この記録に迫るほどの急激な暑さが6月にやってくるとは、異例だと言わざるを得ません。平年に比べて20日前後も早い梅雨明けとなっただけに、2022年はまだ身体が暑さになれていないため、より一層、熱中症への万全な対策が必要です。
 

群馬県伊勢崎市で6月に史上初めて40℃超えを記録
群馬県伊勢崎市で6月に史上初めて40℃超えを記録
 

過去にはあった? 6月中の梅雨明け

6月中の梅雨明けと聞いて思い出すのは2018年の夏のことです。この年、関東甲信では6月29日に梅雨明けが発表されました。梅雨の期間は23日間で、2022年の21日間に次ぐ短さでした。
 

関東地方では梅雨明け後、高気圧に覆われてしばらく晴れた日が続きましたが、西日本では状況が違っていました。日本の南の海上では台風7号が発生し、西日本には雨雲のもとになる暖かく湿った空気が流れ込みやすい場が続いていたのです。そこに梅雨前線が本州付近に停滞したため、7月上旬には西日本を中心に広い範囲で線状降水帯が発生しました。広島県や岡山県など西日本を中心とした11の府県に「大雨特別警報」が発表され、大規模な河川の氾濫や土砂災害など甚大な被害が起きたため、報道では「西日本豪雨」とよばれました。
 

梅雨明けしたら大雨の心配はないとは限らない 

2022年は関東甲信だけでなく広範囲での早い梅雨明けとなりましたが、梅雨が終わったからもう大雨の心配はないとは限りません。
 

来週には太平洋高気圧の勢力も次第に弱まり、さらに6月21日に発表された3カ月予報によると、8月は東日本太平洋側と西日本、沖縄・奄美で平年に比べ、晴れの日が少ないと予想されています。太平洋高気圧の勢力が弱まる時期があり湿った空気が流れ込みやすくなるため、気象条件次第では雨の降る量が多くなる可能性も考えられます。
 

実は、2021年の8月も上旬は広い範囲で晴れて、連日厳しい暑さになりましたが、中旬には本州付近に前線が停滞し、西日本から東日本を中心に梅雨が戻ったかのように、ぐずついた天気になったのです。

2021年8月 お盆の時期に前線の活動が活発になった
2021年8月は、お盆の時期に前線の活動が活発になった
 
長雨をもたらす前線は梅雨の時期に限ってできるものではなく、異なる性質の空気がぶつかり合う場所で発生するため、条件さえ揃えばどの季節でもできる可能性があります。また、これから秋にかけては毎年、日本に接近する台風の発生が増える時期です。最新の気象情報に注意し、大雨が予想される時には事前にできる限りの備えをして、自分や大切な人の命を守る行動を心掛けてください。


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