カルビー「ポテトチップス」よりロングセラー! 「サッポロポテト」の50年を振り返る

カルビーのヒット菓子「サッポロポテト」。2022年で50年を迎えるロングセラー商品ですが、その開発の秘密や、50年のトピックなどを振り返ります。また「サッポロポテト」にまつわるいくつかのトリビアもご紹介します。

カルビーのロングセラー商品「サッポロポテト」(左「つぶつぶベジタブル」、​​​​右「バーベQあじ」)

多くのスナック菓子を手掛けるカルビー。1964年発売の「かっぱえびせん」に続く大ヒット商品を目指し、同社が1972年に発売したのが「サッポロポテト」です。2022年はサッポロポテト誕生から50年。目標は見事に達成され、今日でも日本を代表するスナック菓子の1つとして、よく知られています。今回はこの「サッポロポテト」の50年を振り返るべくカルビー担当者に話を聞きました。
 

「かっぱえびせん」の姉妹商品として登場。一時は日本全国のポテトチップス全体の売り上げよりも勝るほどの支持に!

カルビーが発売するじゃがいも由来のスナック菓子といえば、「ポテトチップス」を思い浮かべる人も多いと思います。しかし、カルビーの商品で言うと、実は1975年リリースの「ポテトチップス」よりも、1972年リリースの「サッポロポテト」のほうが先輩にあたります。まずカルビー担当者に開発経緯を聞きました。
 

カルビー担当者:当社のじゃがいもを原料に使ったスナック菓子では1971年に発売した「仮面ライダースナック」がありましたが、丸ごとの生のじゃがいもを使った最初の商品は1972年の「サッポロポテト」でした。
 

他社商品ではポテトパウダー、ポテトフレークを使っているものは結構ありますが、丸ごとの生のじゃがいもを、皮や中身を全て煮込んでスナック菓子の原材料にしており、こういう商品は当時はかなり珍しかったと思います。
 

当時「サッポロポテト」は「かっぱえびせん」の姉妹商品としてリリースしましたが、「かっぱえびせん」はじゃがいも由来の原材料ではなかったため、カルビーでもこの点で、開発時には相応の試行錯誤を伴ったとも。
 

カルビー担当者:じゃがいもに対する知識がまだ薄く、いざスナック菓子に転じてみたら、赤くなったり、糖分の多いじゃがいもだとスナック菓子が焦げてしまったりと何度も試行錯誤を繰り返しました。それらを乗り越え、ようやく1972年に発売に至ったというわけです。

1972年の発売当時の「サッポロポテト」のパッケージ

このヒットを受け、2年後の1974年には「バーベQあじ」も発売。この2つのフレーバーは菓子自体の造形、味ともに違えど、同じ「サッポロポテト」を冠しての商品として今日まで引き継がれていきます。
 

 「サッポロポテト」は、前例のない商品だったにもかかわらず市場で大いに受け入れられ、一時は日本国内で流通しているポテトチップスの全ての売り上げよりも、「サッポロポテト」1品の売り上げのほうが高かったという時期もあります。

「サッポロポテト」(左「つぶつぶベジタブル」、右「バーベQあじ」)

 

カルビーのじゃがいも由来の菓子にあしらわれるようになった通称「ポテト坊や」

発売当初の「サッポロポテト」はスティックタイプだったのに対し、「バーベQあじ」は、開発する際に見た目でもサッポロポテトと区別がつきやすいようにと、形状の変更を検討しました。形を検討する中で、面積の広い・厚みのある製品でもうまく仕上がるよう、アミアミの穴をあけることにより、サクサクの食感にすることを思いついたようです。
 

これらのヒットを経て、1975年にはカルビー初の「ポテトチップス」を発売。「サッポロポテト」「ポテトチップス」などの、一部のじゃがいも由来の商品には「ポテト坊や(正式名ではない)」がパッケージに描かれるようになります。

カルビーのじゃがいも由来のスナック菓子のパッケージにいるキャラクター、通称「ポテト坊や」

 

じゃがいもだけでなく多くの野菜を原材料に加えるも、またも試行錯誤を繰り返すことに

1980年代に入ると、「サッポロポテト」はさらに進化を遂げていきます。1981年には「食べる野菜ジュース」のキャッチコピーを謳い、ベースの生地に多くの野菜を加え、さらに1983年には「サッポロポテト&ベジタブル」という名称に変更。ただし、この「野菜追加」の際もまた、苦労があったと言います。
 

カルビー担当者:当初はモロヘイヤや大葉のほか、さまざまな野菜を練り込んだものの、加工すると茶色くなってしまうこともあり、「ヘルシーなイメージ」を損なうこともありました。しかし、試行錯誤を繰り返す中、「きちんと野菜の要素があることを、お客さまに知らせたい」という思いから、「スナックに野菜のつぶつぶを加える」こととし、1997年に「つぶつぶベジタブル」としてリニューアルしました。
 

以降も時代ごとのニーズに呼応したり、あるいはより良い味を追求するためにも数年に一度のリニューアルを繰り返し、また限定商品をリリースするなどしながら、今日に至るとのことです。
 

期間限定商品の「サッポロポテトLONGじゃがバター味」
 
「サッポロポテトLONGじゃがバター味」(現在は終売)は従来の「つぶつぶベジタブル」(写真左)よりも長く大ぶりの仕様という、挑戦的な商品でした

 

「サッポロポテト」のロゴの「星」にこめられた思いとは!?

ところで、「サッポロポテト」のロゴにある「ポ」は、半濁音を示す「。」であるはずの部分が星形になっています。これも50年前の発売当初から変わらないイメージですが、この裏には開発時のカルビーの強い思いが隠されていました。

50周年を記念した「サッポロポテト」のパッケージ。もちろん、ロゴの部分の「ポ」の「。」は星形に

カルビー担当者:「サッポロポテト」の元々の商品名の由来は、1972年に札幌五輪があったことと、じゃがいもの一大産地が北海道で、その中心都市が札幌であることからでした。札幌市の徽章(シンボルマーク)が星の形をしており、同様に「サッポロポテト」の「ポ」の「。」としています。
 

合わせて「輝く星のような商品になっていくように」という願いと、長年ご愛顧くださったお客さまへの感謝の気持ちもこの星に込めています。今後もどうか当社の思い、そして「サッポロポテト」の思いを多くのお客さまに受け取っていただければ幸いです。

公式TikTok(@calbeesapporo)では、「サッポロポテト」の新たな楽しみ方、レシピなどが満載です

50年前とは大きく変わった現在。カルビーではSNSなどを通じて「サッポロポテト」の楽しみ方を熱心に訴求しています。
 

これから先も時代ごとのニーズに柔軟に呼応しながら慣れ親しんだ味をずっと楽しませてもらい60年、70年、はたまた100年と長きにわたって「サッポロポテト」を食べ続けられることに期待するばかりです。


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