<目次>
・そもそも「重複」の意味とは
・「重複」の本来の読み方
・「重複(じゅうふく)」は慣用読み
・「重複」の推奨される読み方は?
・「重複」を使った例文
・「重複」の読み方、どっち派? 【独自アンケート】
・「重複」の正しい読み方は「ちょうふく」! だけど…
そもそも「重複」の意味とは
そもそも重複とは、同じものや同じ要素が複数存在することを指します。「重複」という漢字は、「重」と「複」、どちらの漢字も「重なる」という意味があります。同じ意味を持つ漢字を重ねて使うことで、その意味を強調しているのです。
「重複」の本来の読み方
「重複」の本来の読み方は「ちょうふく」です。
日本最大の国語辞典「日本国語大辞典」には「ちょうふく」「じゅうふく」どちらも記載があり、それぞれが初めて使われた文献も確認することができます。
ちょうふく【重複】 杜詩続翠抄(1439年頃)
じゅうふく【重複】 最暗黒之東京(1893)
つまり、「ちょうふく」は室町時代から、「じゅうふく」は明治時代ごろから使われていたことが分かります。
このことから、「重複」の本来の読み方は「ちょうふく」であり、「じゅうふく」は後世になって登場した比較的新しい読み方だと考えられます。
「重複(じゅうふく)」は慣用読み
この後から出てきた「じゅうふく」という読み方は「重複」の「慣用読み」と呼ばれるものです。
「慣用読み」というのは、正式な読み方ではないものの多くの人が使うようになった読み方のことで、中には慣用読みの方が浸透し、本来の読み方が使われなくなる場合もあります。
例えば「情緒」は、本来の読みは「じょうしょ」ですが、現在では慣用読みの「じょうちょ」の方が一般的です。「じゅうふく」も現在では多くの人が使う読み方です。
文化庁が平成15年度(2003年度)に行った世論調査によると、「重複」を「じゅうふく」と読む人が76.1%と、「ちょうふく」と読む人の20.0%を大きく上回りました。
慣用読みである「じゅうふく」も十分に定着しており、間違った読み方とまでは言えなくなっています。
関連記事:慣用読みとは? 慣用読みの一覧や普及された理由をアナウンサーが解説
「重複」の推奨される読み方は?
では、本来の正しい読み方である「ちょうふく」と、多くの人が使うようになった「じゅうふく」、どちらを使うべきでしょうか。
時代に合わせて最も伝わりやすく間違いのない言葉を選ぶことが求められる放送業界を参考にしてみます。
先ほどの世論調査から10年後の2013年に、NHKが放送のガイドラインをまとめた「間違いやすい日本語ハンドブック」によると、
重複 チョーフク △ジューフク(中略)伝統的にはチョーフク
とあり、「じゅうふく」も間違いではありませんが、伝統的な読み方にならい「ちょうふく」が望ましいとされています。
「じゅうふく」という読み方も一般的には通用しますが、改まった場などでは「ちょうふく」と読む方が良いでしょう。
「重複」を使った例文
「重複」は単体で使う場合と、熟語の一部などとして、他の語と組み合わせて使う場合があります。単体で使う場合
・注文が重複してしまったのでキャンセルしてください。・内容の重複がないよう確認が必要だ。
他の語と組み合わせる場合
・国内市場と海外市場に重複上場している銘柄を買った。・彼は、今回の選挙に重複立候補している。
「重複」の読み方、どっち派? 【独自アンケート】
All About ニュース編集部では、「重複の読み方」についてアンケートを実施しました。・「じゅうふく」派の意見
「周りではそう読んでいる人が多いからです」(40代女性/北海道)
「どちらも耳にしますが、自分で普段使う場合は『じゅうふく』と言っていて、『ちょうふく』と言う事は無いです。『ちょうふく』だと堅いイメージと言いますか、公の場とか仕事の場とか、そんなイメージを持っています」(40代女性/新潟県)
「『ちょうふく』は読むときに合っていたっけ?と迷って、結局『じゅうふく』と読む場面が多かったので」(30代女性/栃木県 )
・「ちょうふく」派の意見
【調査概要】「じゅうふくと読むのは間違えてると調べたことがあるから」(20代女性/山口県)
「悩みます。両方使用することがありますが、『ちょうふく』を使うことが多いので選びました」(40代男性/千葉県)
「日頃のビジネスシーンで『ちょうふく』と言っているため」(30代男性/茨城県)
調査期間:2023年10月20~23日
調査方法:インターネット調査
回答者属性:10~70代の500人
「重複」の正しい読み方は「ちょうふく」! だけど…
「重複」の本来の読み方は「ちょうふく」であり、慣用読みとしての「じゅうふく」も広く認知されているものの、公の場などでは「ちょうふく」と読む方がよいでしょう。
ただし、言葉というものは絶えず変化していきます。「重複」の読み方も、10年、20年と時がたつうちに変わっていくかもしれません。なんと読むべきか、ぜひ、その時々で考えてみてください。