学級担任の様子に“違和感”…学校にどう伝えれば受け入れてもらえる?
子どもから報告を受ける学校の様子の中に“違和感”をおぼえる出来事があったとき、学校にはどうやって伝えるのがよいのでしょう。20年以上、公立小学校で教員を務めた経験のあるA先生にお話を聞きました。「疑問に思う出来事があったときには、まず学級担任に相談しましょう。担任で解決しないようなら、学年主任、次に副校長・教頭、最終的には校長。そして校長でも解決しないときは、教育委員会の相談窓口へアクセスしてみましょう。基本的には“下から順に”がおすすめです。はじかれたら次のステップへ進むのがいいと思います」(A先生)
もしや体罰!? 子どもが行き渋る、体調変化など実害があるときは…?
子どもの声をどこまで伝えるかは迷いどころです。子どもも先生もさまざまなので、対処方法を一般化することが難しいとA先生。まずは、いきすぎた体罰など極端な場合ではないことを前提にアドバイスをいただきました。「たとえば子どもが先生の文句や不満を訴えてきたとき、完全に同調していても子どもと一緒に親が文句を言うことだけはやめた方がいいですね。さまざまなタイプの人間とのかかわり方を学ぶいい機会であることを子どもに投げかけたいところです。学級担任との関係が悪くなるのは、子どもにとっても親にとっても絶対にプラスにはなりません。子どもと教員の関係が悪化しないためにどうすればいいかを考えて、子どもに声掛けすることをおすすめします」(A先生)
では、問題が深刻そうなときはどうすればいいのでしょうか。
「たとえば教員の体罰がありそうだとか、子どもが腹痛や頭痛を訴えるなど体調不良を理由に学校に行けないとか…、学校生活に支障が出てきたら迷わず声を上げてほしいですね」(A先生)
理不尽なルールはなぜなくならない? 学校で権限を握る人物は誰?
「基本的には、教育の質を維持することを目的に、日本全体で共通の学習指導要領をもとに指導が行われています。使用する教科書を決めているのは自治体です。つまり、それ以外の細かい部分は校長の裁量に任されているということですね。たとえ同じ自治体内、となりの学校であっても、上履きや体操服などの指定品、行事の日程や内容、あらゆるルールが違うのはそのためです」(A先生)学校独自で決められているルールの中には、納得のいかないものや理不尽に感じる内容もあります。水筒には水しか入れてはいけない、登下校中に水を飲んではいけない、わざわざ遠回りして学校指定の通学路で登校するなど、子どもにとっては「なぜ?」と思うことも少なくありません。
「過去に問題が起きたなど、何か理由があって定められているはずなので、気になることは学校に聞いてみて、それでも納得がいかない場合は改善を求めるといいでしょう。保護者の要望ひとつひとつに対応していると学校運営が成り立たないので難しいですが、複数意見が集まれば改善を検討するでしょうから、声を上げることは重要です。もちろん、ひとつの意見で学校が動く場合もありますから」(A先生)
また、年度末に実施される「学校評価アンケート」には積極的に意見を書くのがおすすめだというA先生。学校はアンケートを公開する必要があるため、保護者が思う以上に学校側はこの評価を大切にしていることが多いようです。
「不満」になる前に、教員や学校に「相談」するのが理想的
クレーマー扱い、モンスターペアレント扱いをされるのではないか、あるいは、保護者が学校に意見することで子どもが不当な扱いを受けるのではないかという不安もあります。もみ消されるに違いないと諦めている人もいるかもしれません。そんな迷いのある保護者に対してA先生は……?「『クレーム』になる前に、『相談』という形で伝えるのが理想的です。保護者にとって些細と思える子どもの発言や行動も、教員にとっては重要な情報。トラブルを未然に防ぐきっかけとなったり、すでに起きている問題を解決できる可能性もあります。はやめに手を打っておくことで問題を大きくせずに済む場合もあります。コツは、クレームのレベルまで溜め込んで結果的にもめるより、『はやめに』『やわらかく』伝えること。保護者と教員の関係がいいほうが、子どもとってのいい育ち、学びにつながります」(A先生)
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