子どもと「添い寝」、何歳まで許される?子離れできない母親が増殖中

欧米人が日本人の育児を見て驚くのが「物心がつく年齢になっても、親が子どもと添い寝している」ことだといいます。日本でのありかたが間違っているというわけではありません。しかし近年、度を過ぎた愛情により、子離れできない母親も増えているようです。

欧米人が日本人の育児を見て驚くのが「物心がつく年齢になっても、親が子どもと添い寝している」ことだといいます。
 

欧米では、子どもが生まれる前に「子ども部屋」を用意します。生後2~3か月は両親の寝室にベビーベッドを置き、夜中に母乳を与えることもあるようですが、決して同じベッドで寝かせることはありませんし、一定の期間が過ぎたら、たとえ夜泣きしようとも、子どもを親と同じ部屋で寝かせることはしないのだそう。
 

これは子どもの自主性を育てるとともに、母親の寝不足を防ぎ、正しく育てるために必要な行動なのだといいます。もちろん、文化の違いもありますから日本の育児が間違っているというわけではありません。ただ最近、子離れできない母親も増えているようです。

「寂しいから」。大学生の子どもと添い寝を続ける母親

千葉県在住の佳織さん(仮名・45歳)は、コロナ禍に入る直前、長く付き合ってきた友人に対して違和感を抱く出来事があり、以後、それまでのような付き合いができなくなってしまったと嘆いています。
 

佳織さんの友人は、ご主人と娘さんとの3人暮らし。ふとした話から、その友人が大学生になる娘さんといまだに同じベッドで寝ていることが発覚したのです。
 

「はっきり言って、気持ち悪い!と思いました。家が極端に狭いといった事情なら別だと思うのですが、彼女の家は4LDKのマンションで十分な広さがあるんです。いくら女の子とはいえ、大学生にもなった娘と同じベッドで寝ているなんて……」
 

友人に誘われて家に遊びに行った佳織さんが、「ここが、私と娘が寝ている寝室なの」と案内された部屋には、セミダブルベッドがひとつだけ置かれていました。「え?」と驚き、どんな言葉を返そうか戸惑っていると、ご友人は「私、娘と一緒に寝ているのよ~」と話し出したといいます。
 

佳織さんが「年齢が年齢なのだから、別の部屋で寝かせるべきでは?」と友人に告げたところ、友人は「娘も私も一緒に寝ることに慣れちゃってるんだもの。仕方ないじゃない」とケロリ。ご主人はどうしているのか尋ねると、「さぁ? 別の部屋で勝手に寝てるみたい」と返され、驚きを隠せなかったという佳織さん。
 

「子離れできない親が増えているとは聞いていましたが、まさか自分の友人がそうだったなんて……。もちろん、一概に悪いということはないと思うのですが、夫をないがしろにしてまですることか?と思ってしまいました。夫婦仲については友人の個人的な問題なのでどうでもいいのですが、あんなふうに母親にベッタリと引っ付かれて育った娘さんは、今後、どうなってしまうのやら……」
 

息子のひとことに愕然…! 米国人夫から見た違和感

東京都在住のクレイグさん(仮名・42歳)は、現在、離婚をすることも念頭に入れ、日本人の奥さんと話し合いを続けている真っ最中。理由は、今年高校1年生になる息子さんが、「ママがいないと眠れない」と、夫婦の部屋で寝ていることにありました。
 

「私の母国(アメリカ)では、生まれてすぐの時から、子どもと両親が寝る場所を分けるのが当たり前。窒息の危険があるので、おっぱいをあげながらの添い寝などありえませんし、母親が寝不足にならないよう早々に部屋を分け、子どもがひとりで眠るようしつけます。妻に対してそのほうが合理的では?と伝えたのですが、日本では子どもがある程度大きくなるまで一緒に寝るものだと言われ、それならば……と、その時は受け入れました」
 

しかし、息子が小学生になり、中学生になっても、奥様は息子さんとの添い寝をやめようとしないまま今年で高校生。
 

身長180cmを超えるクレイグさんと、160cmを超えた息子さん、そして奥様の3人が寝るにはダブルサイズのベッドでは狭く、クレイグさんは数年前から深夜にこっそりと抜け出し、リビングのソファで寝る日々を続けているのだそう。
 

さすがに気色悪さを感じ「もういい歳なのだから、夜はひとりで寝るようにしなさい」と伝えたところ、息子さんから先のような言葉が返ってきました。クレイグさんはまさかのことに愕然としたといいます。
 

「自分の息子がね。いい歳になって『ママがいなきゃ眠れない』なんて口にするとは思いもしませんでした。また、この言葉を息子が言った瞬間、妻の顔が勝ち誇ったような顔をしていたのも気になり、あ、これ、私には無理かも?って。そう思ってしまったんです」
 

母国への出張が多い仕事で、家族に寂しい思いはさせたかもしれない。それでも、自身にできる限り家族と関わってきたつもりだというクレイグさん。これまで愛情をもって接していた家族ですが、その愛情も枯渇寸前だといいます。
 

「なんていうか……息子と母親という関係を外れている気がして。コロナ禍で会社の業績が悪化しているので、母国に帰る話が出ているのですが……どうやら、私ひとりで帰ることになりそうです」
 

第二次性徴を子離れの機会に!

佳織さんのお友達の場合も、クレイグさんの奥様の場合も、さすがに行き過ぎた事例ではありますが、実は日本では添い寝の高年齢化が進み、娘・息子が中学校に上がってもなお、一緒に寝る母親が増えているといいます(もちろん、その間、ご主人との夜の生活はお預け状態なのだとか。子ども可愛さから過保護になりすぎて子離れできないことも、『少子化』が進む一端を担っているとも言えるでしょう)。
 

小学校高学年頃には男女ともに第二次性徴がはじまるもの。医学的にも思春期が始まるとされる8歳頃までには、子離れ・親離れの一環として、寝床を別にすることを考えたほうが良いのではないでしょうか。
 

子どものことを本当に可愛いと思うのであれば、きちんと親離れさせることが愛情です。子どもの親離れは寂しいことかもしれませんが、子どもの成長を受け止め、子どもの自立を促してあげましょう。これも、親にしかできない“子ども孝行”なのですから。

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