古典、現代小説、論説まで多様なテーマ!

難関中学の国語の入試問題として出題された作品をピックアップ。「渋谷教育学園幕張中学校」「慶應義塾湘南藤沢中等部」「早稲田実業学校中等部」「渋谷教育学園渋谷中学校」「広尾学園」、以上5校の2020年・2021年の入試問題に注目。出題作品の中から、入手しやすい本を中心にご紹介します。
 

渋谷教育学園幕張中学校(2021年・2021年)

(1)菊池寛『極楽』

人気作家でありながら、『文藝春秋』の創刊、芥川賞・直木賞の創設にも携わった菊池寛。『極楽』という作品は、極楽浄土にたどり着いた女性がその退屈さから地獄に憧れるようになるという話です。2021年、もう1問の出題は湯川秀樹『具象以前』からでした。
菊池寛『極楽』
極楽
渋谷教育学園幕張中学校では、2020年には三島由紀夫『豊穣の海 第一巻 春の雪』が出題されています。過去にも『死後』(芥川龍之介)、『こころ』(夏目漱石)、『めずらしい人』(川端康成)などが出題されたことがあり、渋幕志望者にとって古典は外せないテーマといえそうです。2020年出題のもう1作は、大澤真幸の紹介による山本七平『「空気」の研究』の解説「忖度の温床」(別冊NHK100分de名著「メディアと私たち」より)でした。


(2)中屋敷均『科学と非科学 その正体を探る』(講談社)

2020年、渋幕の二次で出題された本のひとつがこちら。大学入試や高校入試でもたびたび登場しています。「科学的なこと」だけが真実なのか?「科学的」と「非科学的」に間にあるものは?素人でも分かりやすいサイエンスエッセイと評判です。 2020年に出題された、もう1冊の本は、中学生が主人公の文学作品、長薗安浩『ネッシーはいることにする』(ゴブリン書房)でした。

 

渋谷教育学園渋谷中学校(2021年)

(3)伊吹有喜『雲を紡ぐ』(文藝春秋)

2021年2回目の入試で出題されたのが本作品。手紡ぎの糸による織物をめぐる家族の物語です。高校生が選考を行う高校生直木賞で第8回(2021年)の大賞にも選ばれました。
『雲を紡ぐ』(文藝春秋)
雲を紡ぐ』(文藝春秋)

(4)佐伯啓思『「脱」戦後のすすめ』(中央公論新社)

物語文と論説文が一問ずつ出題される傾向にある渋谷教育学園渋谷中学校で、同じ回に出題されたのがこちらの本。社会と人間の思想についての考え方を分かりやすく解説しています。日本や世界の現状にまつわるさまざまな問題に向き合うきっかけに。
『「脱」戦後のすすめ』(中央公論新社)
「脱」戦後のすすめ』(中央公論新社)
渋谷教育学園渋谷中学校の入試で2020年、2021年に出題された本はほかにも、関口尚『はとの神様』、石川九楊『日本語の手ざわり』、星新一『城のなかの人』、中島義道『哲学の教科書』などがあります。
 

慶應義塾湘南藤沢中等部(2020年・2021年)

(5)今井恭子『ギフト、ぼくの場合』(小学館)

両親の離婚や貧困といった中学受験では比較的扱われやすいテーマ。他人事と思いがちな子どもの貧困について、考えさせられる内容です。同じ年に出題されたもう1冊は、寺澤正男『硬さのおはなし』でした。
『ギフト、ぼくの場合』(小学館)
ギフト、ぼくの場合』(小学館)

(6)針生悦子『赤ちゃんはことばをどう学ぶのか』(中央公論新社)

大人が外国語を習得するのは大変なのに、なぜ赤ちゃんは簡単にことばを覚えられるのか。簡単にバイリンガルになる方法はあるのか。人がことばを学ぶプロセスを知れば驚きの発見があるかもしれません。
『赤ちゃんはことばをどう学ぶのか』(中央公論新社)
赤ちゃんはことばをどう学ぶのか』(中央公論新社)

(7)水野瑠見『十四歳日和』(講談社)

同じ年、同校で出題されたのは、14歳が主人公の小説。男の子も女の子も、それぞれに悩みを抱えながら頑張っている、そんな中学生の日常が描かれています。同年代の青春ストーリーも中学受験では鉄板の出題テーマですね。
『十四歳日和』(講談社)
十四歳日和』(講談社)
 
>>次ページは、早稲田実業学校中等部で2020年に出題された作品です


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