行動経済学とは「経済学では説明できない人間の不合理さ」を解明する学問。本書では、人間の不合理な行動とその要因について解説しています。
全部で15テーマありますが、今回は日常生活や仕事に活かせそうなものを3つピックアップして紹介します。
人間は「相対的」に物事を判断する 居酒屋でよくある「おとり」とは
人間は絶対的な基準ではなく、相対的な基準に基づいて判断します。例えば、居酒屋で「飲み放題(800円)」「食べ放題(1,800円)」「食べ放題と飲み放題(1,800円)」というメニューがあったとします。おそらく多くの人が「食べ放題と飲み放題(1,800円)」を選ぶのではないでしょうか。
しかし選択肢を「飲み放題(800円)」「食べ放題と飲み放題(1,800円)」のみにすると、先ほどよりも「飲み放題(800円)」を選ぶ人が増えると考えられます。
実は、この居酒屋が売りたいメニューは「食べ放題と飲み放題(1,800円)」で、「食べ放題(1,800円)」は「おとり」として選択肢に入れられています。自分が売りたいものの中に「おとり」を紛れ込ませることで、人間の意思決定を左右する例です。本書の中では「エコノミスト」という雑誌の料金を例に扱っています。
人間は「アンカリング」する
「アンカリング」とは最初に提示された数字が、その後の判断を歪めてしまう認知バイアスのことです。アンカリングは、人間のどんな購買行動にも影響を及ぼすとされています。
例えば東京都で家賃8万円の物件に住んでいる人が、家賃相場の低いエリアに引っ越すとします。6万円で借りられるよい物件が見つかったとしても、そこは選びません。たとえこれまでの家より狭く住み心地が悪くても、最初の「8万円」がアンカーになっているからです。そのため、家賃8万円前後の物件に落ち着くでしょう。
このように、人間は最初の価格に自分をアンカリングしてしまう不合理性を持っています。本書では、住宅価格が例として扱われています。
「市場規範」と「社会規範」は排他的である
人間は無償で行うことに価格を付けられると、不快感を覚えたりやる気を失ったりします。お金の絡まない「社会規範」にお金の絡む「市場規範」を持ち込まれた場合です。
本書の事例では、弁護士に「退職者の相談に乗ってほしい」と「1時間あたり30ドル」で依頼したところ最初は断られてしまいます。しかし「無報酬」で相談に乗ってほしいと声をかけると、多数の弁護士が引き受けました。
弁護士の頭の中に「市場規範」が入り込んだことで、労働対価に見合わないと捉えられてしまった例です。しかしお金の話を抜きにすると「社会規範」のみが適用され、ボランティアでもよいと判断されました。
より詳しく内容を知りたい人は、ぜひ本書を読んでみてください。
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