日本でお馴染みの
「他のお客様のご迷惑になりますので、携帯電話は電源をお切り頂くかマナーモードに設定頂きますよう、皆様のご協力の程宜しくお願い申し上げます。」
という冗長な注意喚起の文句がオーストラリアだと
「約束してほしいことが2つだけある!
1つ目、これが超大事だからよく聞いてな!
ショーを心から楽しんで最高の1日にしてくれ!
2つ目はつまらないことなんだけど、スマホは音が鳴らないように頼むな。」
というフランクなものになる……
「一緒に働いてるオーストラリア人、みんなプレゼンが本当に上手。同じことを伝えるにしてもこんな感じ。」と日豪の話法の違いを紹介したのはオーストラリア在住で英語学習アカウント「こあらの学校」校長のこあたんさん(@KoalaEnglish180)。一緒に働いてるオーストラリア人、みんなプレゼンが本当に上手。同じことを伝えるにしてもこんな感じ。 pic.twitter.com/itTZdc73VX
— こあたんこあらの学校 (@KoalaEnglish180) June 15, 2021
SNSユーザー達からは共感の声も
政治家の答弁ではないが、たしかに日本語は形式ばった用法になりがちで、それゆえに相手の心に響かないことがある。こあたんさんの投稿に対しSNSユーザー達からは「"ああ、最後にもう一つだけ"と、ついでみたいな感じで1番大事な事を確認する右京さん方式っすね。」
「英語だと、主語は、私が"楽しめ!最高の一日にしよう!and 携帯鳴らすなよ!"の順になるので、OK!って返せるけど、
日本語は、他のお客様が"メーワクなんだよ!携帯切れよ!"なんですよね!」
「鴻上尚史さんの番組『cool japan』で、テーマが"日本人あるある"の時に注意喚起の多さが話題に挙がっていた事を思い出しました。」
など、数々の共感のコメントが寄せられている。
こあたんさんにお話をうかがってみた
中将タカノリ(以下「中将」):オーストラリアの方たちの国民性や日本人とのコミュニケーション法の違いについて、ご意見をお聞かせください。こあたん:オーストラリアにも色々な方がいらっしゃるので一概には言えませんが、総じて言えば大変陽気で明るく、細かいことをあまり気にしないポジティブな方が多いと感じています。多様なバックグラウンドの方が住んでいる国なので、外国人として住ませて頂く身としては大変住みやすいです。私の職場にも10を超える国籍の方が在籍していますが、いつも笑い声が絶えず、楽しく働かせて頂いています。
仕事の面では、日本人のように細かな作業を丁寧にこなすことは苦手でも、人前で何かを説明したり、プレゼンしたりする能力は本当に高い方が多いです。真面目な商談の場であっても和やかな雰囲気で話が展開され、取引先とも友達のように冗談を交えながらコミュニケーションを取っている姿に初めの頃は驚かされました。
上司と部下の関係も対等で、日本のように厳密な上下関係を感じることはありません。「役職は飽く迄も役割の違いであって、上下関係ではない」という思想が根付いているのだそうです。
中将:オーストラリアの方と交流する中で学んだこと、身に付いたことをお聞かせください。
こあたん:仕事のために自分の時間や命を削る日本のサラリーマンは、世界基準では異常だと気付けたことが一番大きいです。オーストラリアで生活している多様なバックグラウンドの方と仲良くなって、日本とオーストラリアの違いや人生観について語り合ってきましたが、会社からの辞令で家族を残して単身で駐在することや、終電がなくなるまで残業をすることは、全く理解してもらえませんでした。
皆、口を揃えて、「何よりも家族が大切だから、一緒に暮らさないなんてあり得ない」と言いますし、考えてみれば17時以降にオフィスに残っているのは日本人だけです。これまで当たり前だと思っていたことが、世界では非常識なのだと学んだ瞬間でした。
言葉にすると安っぽい感じがしてしまうのですが、この一件から「自分の当たり前を押し付けない」ということの大切さを学びました。仕事に於いてもプライベートに於いても、日本の当たり前を他国の人に押し付けるのではなく、きちんと話し合ってより良い方法を模索するようになりました。この考え方は日本人同士であっても同じだと思うので、帰国後も大切にしたいと考えています。
中将:ご投稿に対するSNS上の反響についてご感想をお聞かせください。
こあたん:オーストラリアの伝え方が楽しくて好きだという方がいらっしゃる一方、日本の伝え方の方が分かりやすくて良いという方もいらっしゃって、本当に色々なご意見がありました。一点誤解しないで頂きたいのは、私は何も日本の文化や慣習を否定したいわけではありません。私は日本が大好きなので、日本にも素晴らしさについてもオーストラリアのみなさんに日々お伝えしています。大切なことは、お互いの良い文化を認め合って、良い部分を取り入れ合っていくことだと思っています。オーストラリアでは日本の素晴らしさを伝えつつ、SNSでは日本のみなさんへオーストラリアの素晴らしさをお伝えすることで、両国を繋ぐ架け橋になれたらと考えています。
■こあたんさん関連情報
『読まずにわかる こあら式英語のニュアンス図鑑』(KADOKAWA):https://amzn.to/2FoAhjo
YouTubeチャンネル:https://youtube.com/channel/UCCQYJ
こあたんさんの各SNSには英語や日豪の文化の違いについてほかの解説も
こあたんさんはこの他に日々、SNSやYouTubeで英語や日豪の文化の違いについてわかりやすく解説している。また昨年には英語の読解についてイラストを交え解説した著書『読まずにわかる こあら式英語のニュアンス図鑑』が発売され、そちらも大好評のようだ。ご興味のある方は、ぜひチェックしていただきたい。
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