新型コロナウイルスの影響で「派遣切り」が相次いでいます。様々な企業が業績悪化のため雇用を維持できない状況になっているのです。


派遣社員だけでなく正社員でも、ある日突然会社が倒産……なんてこともありえますよね。考えたくはありませんが、収入が0になることは想定しておかなければなりません。


今回は、井上さん(仮名)の例をもとに、万が一の場合に慌てないよう「収入が0になる前に知っておきたい失業給付」についてお話ししたいと思います。
 

▼シミュレーションケース

  • 井上さん(仮名)
  • 30歳女性(独身)
  • 派遣社員:月収27万円
  • 貯蓄額:40万円


<相談内容>

「現在、派遣社員として働いていますが、コロナウイルスによる業績悪化の影響で、7月末で契約が打ち切られることになりました。派遣会社から新しいお仕事を紹介してもらう予定なのですが、募集が少ないようで、すぐには見つかりそうもありません。貯蓄も少ないし、どうしたら良いか途方に暮れています」
 

失業給付の受給資格を満たしているか確認しよう

万が一失業した場合、雇用保険に加入していると、失業給付を受け取ることができます。まずは、ご自身が雇用保険に入っているかどうか、そして失業給付の受給資格を満たしているかを確認してみましょう。
 

雇用保険は、下記の条件を満たすと会社が加入義務を負いますが、稀に加入手続きを行っておらず、労働者が不利益を被るケースもあります。給与明細で雇用保険料が天引きされているか確認したり、ハローワークに問い合わせてみてください。
 

▼雇用保険の加入条件

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること


▼失業給付金の受給資格

離職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12カ月以上あること(ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職日以前1年間に、被保険者期間が通算6カ月以上あれば可)。
 

井上さんは1年半ほどフルタイムで勤めていたため、失業給付の受給資格は満たしていました。
 

失業給付って、いくらもらえるの?

失業給付の受給額や支給日数は、「離職前6カ月間の賃金総額」「離職時の年齢」「雇用保険の加入期間」等により決まります。また、退職理由が自己都合か会社都合かにより支給日数が異なりますので、受給総額も大きく変わります。
 

「会社都合」というのは、倒産や解雇等が当たります。今回の井上さんのように派遣社員の場合は、契約期間満了前に次の派遣就業先を指示されず、期間満了後1カ月の間に同じ派遣会社からの就業を希望していながら就業がない場合、「会社都合」となります。
 

それでは早速、井上さんの失業給付を計算してみましょう。
 

(1)まずは賃金日額を計算

賃金日額=離職前6カ月間の賃金総額(賞与は除き、各手当は含める)÷180日


井上さんの場合、賃金日額は(月収27万円×6カ月)÷180日=9,000円になります。
 

(2)表に基づき、基本手当日額(いわゆる失業給付)を算出
賃金日額9,000円で30歳ですので、表の赤枠部分を用いて計算します。少し煩雑ですが、基本手当日額は0.8×9,000−0.3×{(9,000−5,010)/7,320}×9,000=7,200−1,472=5,728円となりました。

(引用:厚生労働省HP「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和2年3月1日から~」より


(3)退職理由に基づき、給付日数を調べる

井上さんの場合は、会社都合の離職となり特定受給資格者です。被保険者期間が1年以上5年未満で30歳ですので、表から120日となります。

(引用:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」より)

結果、井上さんの失業給付は日額5,728円で、給付日数は120日となりました。つまり、新しい職に就くまで120日間は1日あたり5,728円を受給できるということです。120日分の総額にすると687,360円もの金額になります(端数処理により実際の給付額と異なることがあります)。
 

失業給付って、いつからもらえるの?

失業給付の受給開始日は、離職理由が自己都合か会社都合かにより異なります。どちらもハローワークで求職の申請後7日間の待機期間は必須ですが、自己都合の場合、さらに3カ月の給付制限があります。つまり、自己都合だと退職後すぐ手続きしたとしても、なかなか受給できないのです。
 

井上さんの場合は会社都合ですので、3カ月の給付制限はありません。スムーズに申請できれは、比較的早く受給できるはずです。
 

不安で頭が真っ白。そんな時こそ、失業給付は強い味方

井上さんもそうでしたが、ある日突然「来月までです」と言われたら、とても動揺しますよね。今後どうしたらいいのだろうと、頭が真っ白になってしまうほど将来への不安は募ります。ですが失業給付を受けられたら、当面の生活費の心配はなくなり、就職活動に専念できます。
 

井上さんも相談後、失業給付の受給額が思ったより多く、比較的早く受給できそうだと知り、ほっとしたご様子でした。「良い機会だから家計も見直そうと思います。焦らず就職活動頑張ります」と前向きになれたようです。
 

今回は、失業給付についてお話ししましたが、いざという時のための対策はそれ以外にもあります。井上さんのように貯蓄額が少ないのは不安のもと。家計を見直し、無駄な支出を無くしたり、お部屋を整えて不用品処分で手元の現金を増やしたり……できることは他にもあります。
 

次回は、いざという時のために行いたい家計の見直し方についてお話ししたいと思います。
 

この記事を執筆したのは……

小谷 恵

株式会社MILIZE所属、AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、住宅ローンアドバイザー、スカラシップアドバイザー、整理収納アドバイザー2級。早稲田大学卒業後、会計事務所、税理士法人、金融教育会社等を経て、株式会社MILIZEに入社。FPコンサルティング部にて、女性向け家計相談サービス「家計見直し隊」の企画運営を行う。