2018年12月29日、関東学生陸上連盟より、2019年1月2日、3日に行われる、第95回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の区間エントリーが発表されました。
区間エントリーとは?ルールを再確認!
区間エントリーとは、各大学・チームが12月10日に発表されたエントリーメンバー16名のなかから、1〜10区に選手を配置することを指します。この区間エントリーとあわせて、補欠に回った選手6人も同時に発表されています。
補欠選手は往路(2日)・復路(3日)当日に合わせて4人までが交代可能となっています。また、区間配置された選手同士の交代は認められていません(つまり、区間エントリーで発表されている選手は当日外される可能性はあっても、別の区間を走ることはできません)。選手の入れ替えがなければ、29日に発表された区間配置で箱根駅伝を戦うことになります。
参加校の中には、有力選手をあえて補欠選手とし、他校の出方を見ているところもあり、早くも駆け引きが始まっています(ただ、ファンは戦略とは分かっていても一抹の不安を抱いてしまうものです)。
区間エントリーが発表された段階では、こうしたチーム間の駆け引きがあるということを前提に、想像を膨らませるといいかもしれません。
区間エントリーから見える、各大学の戦力分析は……
これらを踏まえて、29日に発表された区間エントリーの内容を、1チームずつ見ていきましょう。
【青山学院大学】
2区に今季好調の梶谷瑠哉選手(4年)、前回大会5区区間5位の竹石尚人選手(3年)を再び5区に配置。復路にも、9区に出雲駅伝4区、全日本大学駅伝6区でともに区間賞を獲得した吉田圭太選手(2年)を配置するなど、万全の配置をしているように思えます。ただ、補欠選手となっている前回大会2区区間賞の森田歩希選手(4年)が故障しているとの報道もあり、エース抜きでの戦いも覚悟しなくてはいけなくなりました。
【東洋大学】
前回大会1区区間賞の西山和弥選手(2年)が再び1区、3区に前回大会4区区間2位の吉川洋次選手(2年)と実績のある選手を配置。前回大会3区区間賞の山本修二選手(4年)、2区区間3位相澤晃選手(3年)と力のある選手を補欠選手としています。復路の7区に前回大会10区区間賞の小笹椋選手(4年)を配置しており、復路にも戦力を残しています。
【早稲田大学】
前哨戦の出雲駅伝、全日本大学駅伝と序盤の出遅れが響き苦戦した早稲田大学ですが、中谷雄飛選手(1年)を補欠選手としており、他校の動向を探っている様子が伺えます。また、前回大会9区区間賞の清水歓太選手(4年)を4区に配置しており、往路で出遅れたくないという意向であると思われます。
【日本体育大学】
力のある選手を往路から順番に配置した印象を受けました。室伏穂高選手(4年)を第92回大会以来の5区に配置している点にも注目です。また主力の中川翔太選手(3年)、廻谷賢選手(3年)といった復路区間で実績のある選手を補欠選手としており、当日変更の可能性を残しています。
【東海大学】
故障で出遅れていた、前回大会2区区間7位の阪口竜平選手(3年)は7区にエントリーされました。補欠選手に關颯人選手、館澤亨次選手(ともに3年)といった主力を残しており、当日変更を活発に行う可能性があります。5区の西田壮志選手(2年)は入学時から5区を希望していたということもあり、注目が集まります。
【法政大学】
2区にエースの坂東悠汰選手(4年)、5区に前回大会5区区間賞の青木涼真選手(3年)を配置。前回大会6区区間3位の佐藤敏也選手(3年)は補欠選手ですが、各所で6区以外での起用が噂されています。実績のある6区か、それとも往路区間での起用なのか、起用区間に最も注目が集まる選手のひとりです。
【城西大学】
前回大会4区4位の金子元気選手(4年)を2区、前回大会5区7位の服部潤哉選手(4年)を再び5区にエントリー。急成長の鈴木勝彦選手(4年)を1区に配置するなど、往路に主力を集めた布陣となりました。全日本大学駅伝2区区間賞の荻久保寛也選手(3年)が補欠登録となっており、どの区間で起用されるか注目です。
【拓殖大学】
1区赤崎暁選手(3年)、2区ワークナー・デレセ選手(4年)など、往路に主力を集めてきました。前回大会5区11位の戸部凌佑選手(4年)を5区、前回大会6区7位硴野魁星選手(4年)を6区に配置するなど、山区間にも経験者を配置しています。前回大会1区13位の馬場祐輔選手(4年)を補欠選手としており、もし、復路に回せるようなら、終盤まで目が離せないかもしれません。
【帝京大学】
主力が極めて順調にエントリーされた印象です。手薄になりがちな復路にも隙がない布陣で、ピーキングが合えば、トップ3以上も狙える布陣であると思います。注目は3区の遠藤大地選手(1年)。11月の10000m記録挑戦競技会で28分34秒88の好タイムを記録しており、1年生ですが注目が集まります。
【中央学院大学】
1区に川村悠登選手(3年)、2区に高橋翔也選手(2年)と主力を序盤に配置。2年連続で2区を出走している高砂大地選手(3年)を5区に配置しています。今季は試合にあまり出場していないことからも、その起用に注目が集まります。連続シード権獲得に向けて、6区樋口陸選手、10区市山翼選手(ともに4年)など、復路にも実力者を配置しています。
【日本大学】
全日本大学駅伝1区7位の横山徹選手(2年)を1区で起用。ここを上位と僅差で乗り切れば、2区のパトリック・マゼンゲ・ワンブィ選手(4年)は区間賞候補であり、序盤で大きなリードが見込まれます。前回大会、関東学生連合で10区6位相当の阿部涼選手(3年)が補欠選手となっており、その動向にも注目が集まります。
【駒澤大学】
片西景選手、伊勢翔吾選手(ともに4年)、伊東颯汰選手(2年)といった主力選手を補欠選手に回しており、他校の動向を伺っている感があります。前回大会2区13位の山下一貴選手(3年)はこの1年でタイムも伸び、再びエース区間の2区に配置されました。前回大会からのリベンジに期待です。
【順天堂大学】
往路に主力を総動員している印象で、課題のピーキングが合えば、レース全体を大いにかき回すでしょう。2区に4年連続となる塩尻和也選手、5区には前回大会区間4位の山田攻選手(ともに4年)というエースを配置しているため、彼らに少しでも上位で襷を渡したいところです。
【神奈川大学】
1区に前回大会1区6位の山藤篤司選手(4年)、2区に前回大会3区11位の越川堅太選手(3年)と、チームの主力選手を配置しているため、序盤で流れに乗りたいところです。前回大会6区9位の安田共貴選手(3年)は補欠登録となっていますが、復路で起用できるようだと、往路だけでなく復路の戦力も充実します。
【國學院大學】
前回大会1区2位のエース浦野雄平選手(3年)を2区ではなく5区に配置しており、多くの陸上ファンを驚かせました。2区でも区間上位候補ではありましたが、より差が付きやすい5区に起用している点において、國學院大學の「往路で勝負に出たい」という意気込みが伝わります。往路を上位で終えるためには、1区から4区までをいかに凌げるかがポイントとなりそうです。
【明治大学】
1区に鈴木聖人選手(1年)、2区に中島大就選手(3年)の実力者を配置。10000m27分56秒45の阿部弘輝選手(3年)が補欠選手となっており、他校の動向を探っている印象です。また、6区には1500mが主戦の河村一輝選手(3年)を配置。スピードは6区走者のなかでも随一であり、注目が集まります。
【東京国際大学】
1区にモグス・タイタス選手(3年)を配置するなど、攻めたエントリーをしている印象を受けました。2区の伊藤達彦選手(3年)は前回大会2区15位ですが、今季は10000m28分28秒62と大幅に自己記録を縮めています。1区で大量リードの展開ならば、3区真船恭輔選手(3年)も含めた3区間で優勝候補校のペースをかき回すことも考えられます。
【大東文化大学】
1区新井康平選手(4年)、2区川澄克弥選手(3年)の主力2人で確実に流れに乗りたいところ。前回大会5区17位の藤岡賢蔵選手(2年)は今回6区にエントリーされています。9区谷川貴俊選手、10区中神文弘選手(ともに4年)を配置しており、復路の陣営も手厚くなっています。また、主力の奈良凌介選手(3年)が補欠選手となっており、どの区間で起用されるかにも注目です。
【中央大学】
2区に前回大会2区8位の堀尾謙介選手(4年)を順当に配置している一方で、中山顕選手(4年)、舟津彰馬選手(3年)、畝拓夢選手(2年)、三浦拓朗選手(1年)といった主力を補欠選手としており、当日変更が活発に行われる可能性があります。
【国士舘大学】
1区住吉秀昭選手(4年)、2区ライモイ・ヴィンセント選手(1年)のオーダーは強力であり、序盤で出遅れなければ、上位進出が見込まれるチームを大いに慌てさせるでしょう。前回大会6区12位の高田直也選手、前回大会10区20位の戸澤奨選手(ともに4年)の復路経験者も補欠選手となっており、復路の選手層も厚そうです。
【山梨学院大学】
永戸聖選手、ドミニク・ニャイロ選手(ともに4年)のダブルエースが補欠選手となっていますが、往路に起用されるのではないかと思われます。ハイペースな展開が予想される1区を凌ぐことができるかどうかが、勝敗のポイントとなるでしょう。5区は前回大会を欠場した久保和馬選手(4年)が挑み、復路はフレッシュな顔ぶれが多いエントリーとなっています。
【上武大学】
前回大会2区19位の太田黒卓選手(4年)が再び2区にエントリーされており、上積みに期待です。復路にも7区熊倉優介選手、10区大森樹選手(ともに4年)を配置しており、主要区間を4年生で占めたエントリーとなりました。
【関東学生連合】
前回大会をインフルエンザで欠場した近藤秀一選手(東京大学4年)、故障で欠場した相馬崇史選手(筑波大学2年)をそれぞれ1区・5区にエントリーしています。両者とも実力はシード校の選手とも遜色ないため、出場が渇望されています。また鈴木陸選手(明治学院大学4年)は補欠選手となっていますが、もし出場すれば、明治学院大学初の箱根駅伝ランナーとなります。
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