恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」 第9回

品川駅が大躍進!JR東日本の駅別1日平均乗車人数ランキングに異変?

5位=品川駅、6位=渋谷駅!順位が入れ替わり注目

先頃、2016年度のJR東日本の駅別1日平均乗車人数ランキングが発表された。
 

 順位   駅名
 1   新宿 
 2   池袋
 3   東京
 4   横浜
 5   品川
 6   渋谷
 7   新橋
 8   大宮
 9   秋葉原
 10    北千住  

参照:JR東日本 各駅の乗車人員 2016年度 

そのうち、首位=新宿駅、2位=池袋駅、3位=東京駅、4位=横浜駅という顔ぶれは、2013年度以降4年連続で不動であるが、5位=品川駅、6位=渋谷駅という順位に注目が集まっている。すなわち、2013年度以降、5位=渋谷駅、6位=品川駅という順位が初めて入れ替わったからである。
 

渋谷駅は転落…しかし実は増加傾向

渋谷駅は、それ以前、東京駅よりも上位の3位をキープしていたのだが、2013年3月に東急東横線の渋谷駅が地下に移転すると同時に東京メトロ副都心線と相互直通運転を開始した影響で、乗り換え客が激減し、順位を落としている。これについては、すでに解説している通り(『JR渋谷駅が乗車人数ランキングで5位に転落! 渋谷駅の収入は大丈夫なのか』)であり、補足することはない。
 

今回、JR渋谷駅の凋落がさらに顕著になったわけだが、決してホームが空いていることはないのは実際に利用してみれば分かる通りだ。渋谷駅の乗車人員を数字で見ると、総数では37万人台前半で推移している。子細にみると、定期外の乗車人員は、わずかではあるが、むしろ増加傾向にある。減っているのは定期客で、東横線からJR線への乗換が不便になると同時に、新宿、池袋へ乗り換えなしに行けるメリットを活かして渋谷駅での乗り換え客がかなり減ったことが見て取れるのだ。
 

品川駅の乗車人員が増加中。その勢いが渋谷駅を上回る

一方、品川駅は、どんどん乗車人員が増加しているので、その増える勢いが渋谷駅を上回ったと解釈するのが自然であろう。では、その要因は何であろうか?
 

■上野東京ラインの開業

品川駅
JR品川駅の発車案内板は行き先が多様だ

まずは、2015年3月の上野東京ラインの開業が挙げられる。これまで北関東からは、上野駅での乗り換えが必須であったから、東京駅を経て品川駅へは中々足が向かなかった人にとっては行きやすくなったであろう。とくに、常磐線の特急「ひたち」「ときわ」が品川始発となったことで、茨城方面と都心との移動が活発になり、利用者が増えたとの報告もある。
 

例えば、東海道新幹線で西日本からやってきた場合、東京駅よりも品川駅で乗り換えた方が列車の始発駅なので気分的に楽である。快速電車や普通電車の場合は、始発の品川駅なら確実に座れるので、品川駅乗換が好まれるであろう。
 

■東海道新幹線からの乗り換えで利用しやすい

東海道新幹線からの乗り換えで千葉方面へ向かう場合、東京駅乗換であれば、混雑した東京駅のコンコースを延々と歩いた上で、丸ノ内側の地下4階まで降りるよりも、品川駅で総武線直通快速電車に乗り換える方が、歩行距離は圧倒的に少ないし、東京駅で乗客が入れ替わることを考えると、品川駅で乗り換えた方が、座れる確率も高まる。総武線沿線在住者や成田空港利用者の中で、東京駅ではなく、品川駅での乗り換えをする人は、決して少なくない。
 

■羽田空港からの利用者も多い

JR品川駅は実は山手線の起点駅。電車形のポストがユニーク
JR品川駅は実は山手線の起点駅。電車形のポストがユニーク

品川駅には京急電鉄も乗り入れているので、羽田空港からの利用者も多い。京急電鉄は、北隣の泉岳寺駅で都営浅草線につながっているものの、例えば、新橋駅まで行くとすると、運賃が320円(ICカード利用なら307円)かかり(品川~泉岳寺=京急線で140円、泉岳寺~新橋=都営地下鉄で180円)、これはJR利用(160円、ICカード利用で154円)の倍である。
 

大きなスーツケースを持っていて乗換が面倒であるならば京急から都営線への直通電車を利用するけれど、軽装のビジネスマンであれば品川でJRに乗り換えるであろう。もちろん、渋谷方面であれば迷うことなく品川で山手線に乗り換えることとなる。実際に、羽田空港発の京急線を利用すると、かなりの乗客が品川駅で下車している。
 

■リニア中央新幹線も!将来の品川駅周辺の発展に期待

JR東海が建設中であるリニア中央新幹線の東京側起点が品川駅に決定したことも品川駅の発展に影響を与えている。開業予定は2027年とまだまだ先のことであるが、将来の品川駅周辺の発展を見越して、本社を品川駅周辺に移転する事例もいくつかある。さらに、北隣のJR田町駅との間の広大な車両基地を大幅に整理して、その跡地に新駅を建設する計画も品川駅周辺の再開発を加速する要因となっている。
 

■東京メトロが乗り入れていないことも大きい

そして、品川駅には、東京メトロが乗り入れていないこともJRの利用者数を増やす一因であろう。ほかのターミナル駅には、JRのみならず東京メトロの路線が乗り入れているので、鉄道利用に限っても選択肢が複数あるので乗客は分散するのに、品川駅にはそれがない。京急から都営地下鉄浅草線という選択肢は、運賃面で割高ということもあり、JRに集中する傾向は続いている。
 

格段の利便性が高まった品川駅

JR品川駅改札前の賑わい
JR品川駅改札前の賑わい

乗換だけではなく、品川駅周辺には複数のシティホテルがあるので、宿泊のみならず、各種の催し物に出席するため品川駅を利用する人も一定数存在するであろう。
 

かつて、東海道新幹線の駅もなく、京急線が羽田空港へも直通していなかった頃とは、格段の利便性が高まった品川駅。まだまだ発展しそうな勢いで、今後も注目のエリアである。

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