加藤恒平がサプライズ招集!ハリルホジッチ監督の思惑は?

加藤と久保
初選出された加藤恒平(右)。オフシーズンに入った日本代表の海外組向けの練習合宿に久保裕也(左)らと参加している(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の選択が話題を集めている。6月のロシアW杯最終予選イラク戦に挑むメンバーに、思い切った変化を加えたからだ。
 

話題の中心にいるのは、加藤恒平である。東欧のブルガリアでプレーする彼は、J1リーグでプレーした経験がない。これまで日本代表に選ばれたことはなく、U-20日本代表のような世代別代表の経験もない。言ってみれば無印の選手である。
 

ならばなぜ、ハリルホジッチ監督は加藤を招集したのか。
 

あと少しで出場権確保。ただ不安材料も抱えていた

サウジアラビア、オーストラリア、UAE(アラブ首長国連邦)、イラク、タイとのホーム&アウェイによる最終予選で、日本は5勝1分1敗で首位に立っている。このまま上位2チーム以内を確保すれば、ロシアW杯に出場権をつかむことができる。
 

6月13日のイラク戦に臨むチームに不安があるとすれば、チームの心臓部にして肺にもなるボランチの選手起用だ。キャプテンの長谷部誠がケガで戦線離脱しているのだ。
 

3月のW杯予選では、長谷部に代わって今野泰幸が招集された。ガンバ大阪に所属するこの34歳は、約2年ぶりに代表復帰したにも関わらず出色のプレーで勝利の立役者となった。ところが、UAEをアウェイで撃破したその試合で、ケガをしてしまったのだ。
 

UAE戦
3月23日に行われたアジア最終予選UAE戦で約2年ぶりに復帰した今野泰幸(後列右)。しかし、この試合で負傷しており、コンディションには観察が必要だ(写真:アフロ)

今野はその後のJリーグに出場できず、治療とリハビリにほぼ2か月を要した。メディカル的には問題なしとの判断が下されたものの、コンディションは観察が必要だ。
 

対イラク用の選考基準とは?

対戦相手の特徴も、選手選考では考慮される。イラクは体格に恵まれた選手が多く、ガツガツとしたコンタクトプレーを厭わない。身体のぶつかり合いで負けないタイプが求められる。
 

さらに加えて、試合会場への危惧がある。国内が政情不安のイラクは、ホームゲームを中立地で行なっている。イラク対日本戦はイランの首都テヘランが舞台となるが、試合会場のピッチコンディションが良くないことが予想される。身体の強い相手と荒いピッチで戦うことも想定すると、技術的に優れた選手よりもタフに戦える選手が欲しい、というのがハリルホジッチ監督の選考基準なのだろう。
 

加藤はボールを奪う力を持った選手だ。彼のほかにもボランチの候補者として、遠藤航がリストアップされた。所属先の浦和レッズではセンターバックでプレーする遠藤も、ボール際の攻防に強さがある。遠藤とともに昨夏のリオ五輪に出場した井手口陽介(ガンバ大阪)も、激しいディフェンスを特徴とする。いつものようにボールをつないでいくサッカーができないことも想定したうえで、イラク相手に戦える選手たちをより多く選んだ、というのが今回にメンバーなのである。
 

森重の代わりは誰に?CBも注目ポジション

ハリルホジッチ監督の今回の選考で、小さな疑問を呼び起こすのはセンターバックだろうか。
 

最終ライン中央で守備を束ねるこのポジションには、イングランドのサウサンプトンで充実のシーズンを過ごした吉田麻也がいる。吉田のパートナーは森重真人が務めてきたのだが、ハリルホジッチ監督はFC東京所属の彼を外したのだった。
 

代わってスタメンに昇格するのは、昌子源となることが濃厚だ。昨年のJ1リーグを制した鹿島アントラーズの守備の中心で、スピードと高さを併せ持つ。クラブレベルでの実績は十分の24歳だが、国際試合には2試合しか出場していない。W杯最終予選という緊迫感のなかで、いつもどおりのパフォーマンスを発揮できるかどうか。
 

昌子
昨年のJ1リーグを制した鹿島アントラーズの守備の中心だった昌子源の活躍にも期待がかかる。なお、昌子ら国内組は6月4日のJリーグ戦後に合流する(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

また、センターバックの3番手と見なされる三浦弦太は今回が初招集だ。移籍1年目のガンバ大阪で好パフォーマンスを披露しているが、経験という意味では不安を抱かせる。
 

6月13日のイラク戦に備えて、日本代表は6月7日にシリアとテストマッチを行う。まずはこの試合で、最終ラインとボランチに誰が起用されるのかが注目だ。
 

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