16-17シーズンに幕。ドイツで決定的な働きをした選手は?
ドイツ・ブンデスリーガは、16-17シーズンが5月21日に終了した。そして、チームのために決定的な仕事を果たした日本人選手がいた。
大迫はケルンの歴史に名前を刻んだ
まずは大迫勇也だ。
彼が所属するケルンは、最終節を前に7位につけていた。あと一つ順位をあげて6位になれば、来シーズンのヨーロッパリーグ(EL)に出場できる。欧州各国リーグの成績上位クラブが集うELは、クラブも選手も国際経験を積める価値ある大会だ。上位進出を果たせば、高額の賞金も手に入れられる。
マインツとの最終節に先発出場した大迫は、前半終了直前に先制点を呼び込む。スローイングをヘディングで味方選手へつなげると、その流れからシュートが決まったのだ。
追加点は自ら決めた。カウンターからフリーで抜け出し、今季6点目を左足で突き刺した。
大迫の1得点1アシストの活躍で、ケルンは2対0で勝利した。一方、他会場では5位のヘルタ・ベルリン、6位のフライブルクが揃って敗れていた。これによりケルンは、1992-93シーズン以来、実に24シーズン以来(!)となるELの出場権を獲得したのだ。
マインツ戦はクラブの歴史に残るゲームとなり、大迫は強烈な爪痕を記したと言える。シーズンを通してゲームに絡んだ大迫は、ドイツでプレーする日本人選手でもっとも安定したプレーを見せていた。
爆破事件を経て…香川真司もCL出場に貢献
ELよりも権威の高いチャンピオンズリーグ(CL)の出場権確保に、貢献した日本人選手もいる。香川真司である。
ブレーメンとの最終戦に先発した香川は、2試合連続となるアシストで先制点を導いた。密集を切り裂くスルーパスは、現地メディアからも高く評価された。
香川らの攻撃陣が機能し、ドルトムントは4対3で競り勝つ。CLに予選なしで出場できる3位以内をキープし、シーズンを終えることができたのだった。
HSVの酒井高はキャプテンとして残留に貢献
クラブの1部残留に、力を発揮した日本人選手もいる。
ひとり目は酒井高徳だ。この26歳がプレーするハンブルガーSV(HSV)は、これまで一度も2部に降格したことがない。ところが、今シーズンは絶体絶命の危機にさらされていた。最終節を前にした順位は16位で、このままでは2部3位とのプレーオフを戦わなければならない。
15位のヴォルフスブルクとの直接対決となった最終節は、1対1のまま終盤を迎える。引き分けでは16位のままだ。しかし88分、HSVはゴールを奪う。土壇場でヴォルフスブルクを蹴落とし、14位での残留を果たしたのだった。
重圧との背中合わせだったチームで、酒井はシーズン途中からキャプテンを務めた。チームへの忠誠心と責任感に溢れるこの日本人選手は、国籍も年齢も様々なチームをまとめ上げたのだった。シーズンを通して稼働し、複数のポジションをこなした意味では、大迫にも見劣りしないパフォーマンスだった。
マインツの武藤は逆転ゴールで残留を呼び込む
マインツの武藤嘉紀も、1部残留につながる働きを見せた。33節のフランクフルト戦に後半から出場し、逆転のヘディングシュートをたたき込んだのである。さらにPKを呼び込む突進も見せ、4対2の勝利に貢献した。
この時点で勝点37の13位となったマインツは、1部残留をほぼ確実とした。最終節で大迫のケルンに敗れ、酒井のHSVに抜かれて15位となったものの、来シーズンも1部で戦う権利は譲らなかった。
浅野のシュツットガルトは1部昇格
2部から1部へ昇格する戦いで、存在感を発揮した選手もいる。シュツットガルトの浅野拓磨だ。
リオ五輪終了後の昨夏に渡独した22歳は、持ち前のスピードを生かしてチームの攻撃に変化を与えてきた。シーズン終盤の3試合は出場機会を得られず、通算4ゴールでは本人も納得できないだろう。ただ、昇格争いのプレッシャーを感じながら、つまり負けられない試合の連続だったシーズンは、彼のキャリアを骨太にしたはずである。
6月13日にロシアW杯最終予選。5人の招集は…?
ブンデスリーガは幕を閉じたが、彼らがバカンスを過ごすのはもう少し先になる。6月13日にロシアW杯最終予選が控えているからだ。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が率いる日本代表でも、彼ら5人の奮闘が望まれる。