「棺をのぞき込んでお別れ」が命取りに。法医学者が明かす、葬儀場で親族が亡くなる“まさかの原因”

故人との最後の別れで、棺に顔を近づけた親族や友人が亡くなる事故が報告されています。棺の中に潜む“見えない危険”とは? 法医学者・高木徹也氏が、事故の原因と身を守るための注意点を解説します。(画像出典:PIXTA)

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棺のふたを開けても、二酸化炭素は底に留まる

国民生活センターの実験では、棺に10kgのドライアイスを入れて蓋を閉めると、棺内の二酸化炭素の濃度は急激に上昇し、20分後には30%以上、4時間後にはおよそ90%まで上昇しました。

また、その後に蓋を開けたとしても、二酸化炭素は空気中では重い気体なので棺の底に留まり続け、開けてから50分が経過しても、30%以上の濃度を保っていました。

短時間で死に至るに十分な濃度です。

色も臭いもないため、充満していても気づかない

ちなみに、二酸化炭素中毒で死亡した場合、解剖しても短時間で心停止に至ったことを示す所見しか認められません。そのため、警察などによる現場の調査が、死因を判断するための重要な手がかりになります。

冒頭のケースでは、お通夜の後もお酒を飲みながら、棺の中のご遺体との別れを惜しんでいたのでしょう。そして、棺に頭を突っこむ形でウトウトしてしまった……。その間に、ドライアイスから発生した二酸化炭素ガスによって、中毒死したものと考えられるのです。

二酸化炭素ガスは色も臭いもないため、充満していても気づきません。これまでにも、ドライアイスを使って遊んでいた子どもや、ドライアイスを運搬する貨物車両内に乗っていた人が、中毒を起こした例が多数報告されています。

ドライアイスを大量に取り扱う葬儀の現場では、棺の中の危険性をしっかり認識しましょう。中毒にならないような注意喚起や、環境の整備を行なうことも必要です。

◎このような危険を避けるには……
・棺の中をのぞきこまない。
・棺は十分な換気がされている場所に安置する。
・線香番などで関係者を一人にさせない。

こんなことで、死にたくなかった: 法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」 (単行本)
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著者:高木徹也(法医学者)
1967年、東京都生まれ。杏林大学法医学教室准教授を経て、2016年から東北医科薬科大学教授。高齢者の異状死や浴槽内死亡事例などを研究し、東京都監察医務院非常勤監察医、宮城県警察医会顧問なども務める。これまでに5000体以上を検死・解剖している。

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