「特別な実績」はいらない。高校を中退した私が、高卒認定から神戸大学の総合型選抜に合格できた理由

高校中退・高卒認定から神戸大へ現役合格し、現在は総合型選抜の塾を運営する嶋崎まあやさん。「特別な実績がないと無理?」という疑問に対し、挫折や葛藤を明かしながら、レールを外れたモヤモヤを合格に変える「総合型選抜の本質」を語ってもらいました。

総合型選抜は「すごい経験の品評会」ではない

総合型選抜の塾「キャリナビ」で学生と対話する嶋崎さん
総合型選抜の塾「キャリナビ」で学生と対話する嶋崎さん
帰国後、嶋崎さんはこの気付きをベースに「人が主体的に育つ教育とは何か」を大学で学びたいと考え、総合型選抜という入試スタイルを選択します。

受験した神戸大学の入試は、評定平均(学校の成績)による足切りがなく、高卒認定試験の資格があればフラットに評価してくれる制度でした。学校の調査書がきれいでなくてもチャンスが開かれているという事実は、当時の彼女にとって大きな救いだったといいます。

しかし、ここで筆者には1つの疑問が浮かびます。「カナダ留学」や「スキー強豪校」という経験そのものが、合格の後押しになったのではないか? という疑問です。率直にぶつけてみると、嶋崎さんは首を振りました。

「よく総合型選抜は珍しい実績がないと受からないと誤解されますが、それは違います。大学側が見ているのは、大学や学部が求める人物像と、自分の経験や学びたいテーマが合っているかどうか、それを言語化できるかどうかです」

経験の派手さではなく、「その経験から何を学び、大学での研究にどうつなげるか」というストーリーの深さが大事なのだといいます。

嶋崎さんの合格の理由は「スキーが上手かったから」でも「カナダに行ったから」でもありません。「高校中退という挫折を通じて、日本の教育にどんな課題を感じたか」「カナダでの体験を通じて、どんな教育の理想を見つけたか」という、世間的には「レール外れ」と言われるような経験を、自分の中で1本の「問い」として言語化できたからこそ、合格を勝ち取れたのです。

高校中退といった経験は、履歴書の上では一瞬ネガティブに見えるかもしれません。しかし嶋崎さんは、「その経験をどう受け止め、どんな意味を見出したのかは自分自身にしか語れません。私自身、総合型選抜の準備を通して人生を深く見つめ直すことができました」と語ります。

そのとき感じた葛藤やモヤモヤこそが、総合型選抜において他の誰にもまねできない強力な「志望理由」の種になります。かつての嶋崎さんのように、今レールの上で息苦しさを感じている受験生や保護者にとって、彼女の歩んだ道は大きな希望になるはずです。
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お話を聞いたのは:嶋崎まあや さん
総合型選抜専門塾「キャリナビ」代表。神戸大学国際人間科学部在学。高校時代にアルペンスキーの強豪校へ進学するも、教育のあり方に違和感を抱き、高校1年で退学。その後、カナダで競技生活を続けながら「自分で考え、選ぶ」教育のあり方に触れる。帰国後、高卒認定を経て神戸大学に総合型選抜で進学。現在は総合型選抜専門塾「キャリナビ」を開校し、通信制高校生や不登校経験者を含む高校生の進路選択を支援している。
廣田 美絵子
この記事の執筆者: 廣田 美絵子
大手化粧品会社で人事部にて採用・教育・広報を担当。その後教育系のベンチャー企業を経てフリーランスで取材・編集・執筆を行う。キャリアコンサルタントでもあり、人のキャリアや生き方にフォーカスした記事執筆を得意とする ...続きを読む
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