基礎学力が足りないまま合格した代償
もう1つの理由は、「一般入試以外での入学」が背景にあるケースです。並木さんは次のように明かします。「実は、究進塾に通う大学生の割合でいえば、こちらのケースの方が多いです。基礎学力が足りないまま入学し、大学の講義に全くついていけなくなっているのです」
一般入試以外というと、近年「年内入試」と呼ばれる総合型選抜や学校推薦型選抜が主流になりつつあります。
人物評価が基準の総合型選抜や、高校の校長が推薦する学校推薦型選抜は、一般入試に比べれば、いわゆる「学力テスト」の比重が軽くなる傾向にあります。その結果、基礎学力が不十分なままでも合格できてしまう可能性が高まるのです。
その影響は、大学教育の現場にも影を落としています。2025年4月には、財務相の諮問機関である財政制度等審議会が「教育の質の実態」を公表し、定員割れしている一部の私立大学で「中学校程度の授業」が行われている実態を問題視しました。
大学側としては、定員確保のために学力不足の学生も受け入れざるを得ず、講義を成立させるために苦肉の策として基礎教育に時間を割いているわけです。
しかし、その分、本来の大学レベルの講義が不十分になってしまうというジレンマを抱えています。
難関校で「放置」される学生たちの悲鳴
「究進塾に通う大学生の多くは、定員割れの大学ではなく、慶應義塾大や東京理科大など難関校の学生です。受験負担が軽いために基礎学力が身につかないまま、年内入試で合格してしまったことで苦労しています」こうした世間的に一流と評価されている大学は、一般入試を勝ち抜く学力を持つ学生が多数派。そのため大学側に「基礎が足りない学生を補習する」という発想がそもそもありません。
講義についていけない学生は救済措置もなく放置され、自力でのリカバリーも困難です。結果として、単位不足による中退を余儀なくされる事態も起こり得るのです。
そうなると、本人はもちろん、保護者も強い危機感を抱かざるを得ません。まさに「藁(わら)にもすがる思い」で、塾の門を叩くことになります。



