皇室をめぐる議論では、「皇族の数が減っている」という問題がしばしば取り上げられます。しかし実は、「皇位継承」と「皇族数の減少」は本来まったく別の問題です。
皇位継承とは、誰が次の天皇になるのかという国家の根幹に関わる制度です。一方で皇族数の問題は、公務の担い手に関する実務的な課題にすぎません。
本記事では『竹田恒泰の特別講義 天皇と皇族』(竹田恒泰・著/Gakken)より一部を抜粋・編集し、日本の皇位継承を支えてきた男系継承の原則と、その背景にある考え方を解説します。
「皇位継承」と「皇族数減少」は別の問題
現在、政府も皇室を取り巻く状況を深刻に受け止め、早急な対応が必要だとして議論を進めています。しかし、ここで何より注意すべきなのは、「皇位継承」と「皇族数の減少」という2つの課題が、しばしば混同されているという点です。
はっきり言うと、この2つは本質的にまったく異なる問題です。
まず「皇位継承」とは、天皇の譲位あるいは崩御(ほうぎょ)により、次代の天皇に正統に皇位が引き継がれることを意味します。日本国憲法および皇室典範に則り、「皇統に属する男系の男子」が皇位継承資格者であると明確に規定されていて、それ以外は正統な皇位継承ではありません。
一方で「皇族の減少」は、現在の天皇陛下とそのご一族からなる皇族の人数が減ることによって、祭祀や儀式、公務の担い手が不足するという懸念を指しています。
この両者は一見同じ問題に見えても、論点としては明確に分けて議論されるべきものです。
「誰が天皇になるのか」という国家統治の根幹と、「誰が皇室の公的活動を担うのか」という実務の問題では、次元が異なるのです。
皇位継承を支えてきた男系継承の原則
日本の皇室は初代・神武天皇以来、現在の今上陛下まで126代にわたり、連綿と皇位が継承されてきました。たしかに、その間、時代に応じて継承順位のルールには変化がありました。
たとえば、かつては弟が兄より優先された時期もあり、1代限りとはいえ女性天皇が即位した例もあります。
しかし、変わらなかったのが「男系による継承」という原則です。すなわち、歴代すべての天皇が、父方の系譜をたどれば神武天皇に行き着く男系の血筋に属していたという事実です。
これは初代天皇からの不動不変の大原則であり、女系の人物が皇位を継ぐことはありえません。
現在、国会で行われている皇位継承の議論も、こうした原則をふまえたうえで、「いかにして男系男子による継承の流れを途切れさせることなく維持していくか」を前提に進められています。決して、女性天皇や女系天皇を認めるかどうかを主題にしているわけではありません。
むしろ、かつて小泉内閣時代に議論された「女性天皇・女系天皇・女性宮家」の検討は、現在の審議において重要な対象にはなっていないのが現実です。



