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苦手はそのままでいい。子ども時代は「やり過ごす」時期
わたしの息子の中で運動が苦手だった子は、高校に入学してテニスを始めました。息子の学校のテニス部はインターハイに出場するような強豪校で、練習も非常に厳しいのです。
息子には無理だろうと思ったのですが、彼は「大好きな友だちがテニス部で、彼らに誘われたから入部したい。試合に出られなくても、いっしょに練習できればうれしいんだ」と言うのです。
顧問の先生も「佐々木くんにうちの部はきつすぎるのでは」と心配していらしたので、わたしから「本人がそのように申していますので、おじゃまでなければおいていただけませんか?」とお願いしました。
顧問の先生は理解のある方で、快諾してくださり、「みんながグラウンドを3周するところを佐々木くんは1周、というように配慮しますね」とおっしゃってくださいました。
そのような配慮もあって、息子は高校での3年間、部活でテニスを続けることができました。
あるとき、家族旅行で宿泊したホテルにテニスコートがあり、家族でテニスをしたことがありました。そうしたら、その子だけ特別にじょうずでした。運動神経のいい子よりはるかにじょうずなのです。
こつこつ3年間続けるというのはそういうことなのだと、感動しました。
息子は運動が苦手ながら、一生楽しめるスポーツを手に入れたのです。いい学校のいい部活動と出合えて、本当によかったと感謝しています。
人には誰しも、得意なことと不得意なことがあります。長所は長所として発揮しつつ、弱点や苦手があっても、それを持ち合わせたまま、弱点が目立ちやすい時期をやり過ごすのがいいと思います。
大人になれば、走るのが速いかどうかなど、誰にもわかりません。走るより自転車に乗ったほうが、ずっと速くて便利なのですから。
佐々木正美 プロフィール
1935年、群馬県前橋市生まれ。1966年、新潟大学医学部卒業後、東京大学で精神医学を学び、ブリティッシュ・コロンビア大学に留学して児童精神医学の臨床訓練を受ける。帰国後は国立秩父学園や横浜市の療育施設などで児童臨床医として活動し、自閉症の子どもと家族を支える療育の実践と普及に尽力。川崎医療福祉大学教授などを歴任。『この子はこの子のままでいいと思える本』(主婦の友社)、『子どもへのまなざし』シリーズ(福音館書店)など著書多数。2017年6月逝去。



