氷河期世代の「失われた20年」はサンクコスト? 金融のプロが教える人生後半の“大逆転戦略”

不遇の時代を生き抜いた「就職氷河期世代」。失われた20年という過去(サンクコスト)への執着を捨て、人生後半戦で大逆転するためのファイナンス思考とは? 金融のプロが「小さく負けて大きく当てる」戦略などを解説します。(画像出典:PITA)

※本記事で紹介している商品の購入やサービスの利用により、売上の一部がオールアバウトに還元されることがあります。

人生の 「コールオプション」 を買い続けよう

最後にもうひとつ、ファイナンス理論から学べる重要なコンセプトを紹介します。

それが「コールオプション」です。コールオプションとは「将来、ある資産を決まった価格で買う権利」のことです。

たとえば、ある投資家が、現在1000円のABC株式会社の株価が将来大幅に上がると予想しているとしましょう。そこで、この株式のコールオプションを1株あたり50円で購入します。

予想どおり、1か月後に株価が1200円に上昇した場合、この投資家が「1100円でABC株を買う権利」を持っていると、当然権利を行使します。

結果として、1200円の株を1100円で手に入れられて、即売却すれば100円儲かります。

逆に株価が上がらなければ権利を放棄すればよく、損失は支払った50円のオプション料のみ。

つまり、「損失は限定的(コールオプションの購入費用のみ)、利益は青天井」という非常に魅力的な打ち手なのです。

この考え方を、人生に応用してみましょう。

人生の後半戦に大きな博打を打つ必要はありません。

この時期にとるべきは、“小さく失敗して大きく当てる”戦略です。

たとえば、次のような行動です。

・週末だけ副業を試す
・異業種交流会に参加してみる
・学校OB・OG主催のゴルフコンペに顔を出す
・興味のある分野の本を一冊読んでみる


その多くは、費用だけ払って終わる「権利放棄」になるかもしれません。

しかし損失は限定的で、金額も確定しています。そこからあなたの天職につながる人脈やアイデアに出会う「大当たり」につながることもあるでしょう。

氷河期世代は、努力が報われない状況が続くなか、知らず知らずのうちに「失敗しない」行動パターンが染みつきがちです。しかし、これからの人生は「小さく失敗して大きく当てる」コールオプション戦略こそが、逆転の鍵となるはずです。

「氷を溶かす世代」へ

氷河期世代は、どんな順風満帆な世代も持たない「打たれ強さ」と「現実を見つめる目」を培ってきました。これこそが、不確実な時代を生き抜くために必要な、最強の「非財務資本」です。

サンクコストはきっぱりと手放して、自分の中に築いてきた非財務資本を再認識し、そして小さなコールオプションを買い続ける——人生の後半戦では、非財務資本の力を存分に解き放ち、氷を溶かすように、自分の可能性を熱く燃やしていきましょう。
世の中のことも自分のこともみるみるわかる お金の「選択」 人生の節目に役立つファイナンス超入門
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この書籍の執筆者:森 暁郎 プロフィール
グロービス経営大学院 教授。慶應義塾大学経済学部卒業、コロンビアビジネススクール修了(MBA) 三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。国内及びニューヨーク支店にて、シンジケートローン等の営業及び審査業務に従事。MBA取得後、General Electricに入社し、大型のM&A案件等を担当。その後、ベネッセにて新規事業開発や海外M&Aを統括。現在はグロービスにて会計・ファイナンス領域の責任者を務める。取締役として投資先の経営にも参画。
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