「退職金を待つ人生」は、機会費用を失っている
さて、話を私たちに戻しましょう。退職金は、表面的には安心感を与えてくれます。
しかし、現役時代の給与を抑えて後払いにする仕組みである以上、「成長の機会を後ろ倒しにする」リスクがあります。
退職金に依存するか否かは、大切な人生を主体的に生きるか、受動的に生きるかの反映でもあります。
また、退職金を目的に1社に居続けることで、失っているものはないでしょうか。
ここで思い出してほしいのは、「機会費用」の考え方です。
もし今の仕事が心から好きで、成長を感じられているなら、それは素晴らしいことです。
けれど、もしチャレンジしたいことを我慢し、「退職金のために耐える」毎日を過ごしているなら、その代償は目に見えない形で積み上がっていきます。
成長の機会を逃し、キャリアの選択肢を狭め、人生の時間を切り売りしている。
その損失は、退職金では取り戻せません。
退職金は優しい制度に見えて、実は冷たい構造
終身雇用、年功序列、長年の功績に報いる退職金制度……一見すると温かい仕組みです。しかし、日系企業とグローバル企業の両方で働いてきた私自身の実感として、この制度は決して優しいものとは思えません。
「安定を与える代わりに、成長と自由を後回しにする」──それが、退職金制度の本質だからです。
一方、グローバル企業では、組織再編やリストラが日常的に起こります。厳しいようでいて、そのたびに「自分のキャリアをどう描くか」を真剣に考える機会が与えられます。
若いうちからそんな環境に置かれることで、自分の人生と真剣に向き合う習慣がつきます。



