※本記事で紹介している商品の購入やサービスの利用により、売上の一部がオールアバウトに還元されることがあります。
「担任任せ」では見落としてしまう。子どもの心の不調を防ぐ“データ一元化”
これは流山市に限ったことではありませんが、多くの自治体で、学校における子どもの情報が一元化されていませんでした。成績や出欠席、保健の記録など、いわゆる校務系のデータと、日々の学習記録やテスト結果などの学習系データが、それぞれ別のシステムに保管され、統合されていなかったのです。
その結果、子どもの状態を把握するのは担任の先生に一任されており、学校全体として子どもを見守るという体制にはなっていませんでした。
さらに近年は、子どもたちの心の問題が複雑化しています。
家庭環境の変化や、SNSなどの影響もあり、学校生活だけでは見えにくい心の不調や不安を抱えている子どもが増えてきています。そうした子どもの心の動きを、教師も学校全体でも把握できる仕組みの必要性を強く感じていました。
そこでまず、校務系と学習系のデータを一元化する仕組みを導入しました。
これによって、担任以外の教員も、生徒一人ひとりの状況を把握できるようになりました。保健室の利用記録や欠席状況、学習の傾向などが横断的に見えるようになったのです。
毎日タブレットで入力する「心の天気」。小さなSOSを見逃さない仕組み
同時期に導入したのが、「心の天気」というシステムです。子どもたちは1人1台配布されているタブレット端末から、毎日1回、自分の心の状態を「晴れ」「くもり」「雨」などの天気マークで表現し、あわせて自由にコメントを入力できるようになっています。
この「心の天気」は、小学校では毎日必ず1回入力することをルールとしました。
たった一言のコメントであっても、そこに子どもの心の小さな変化や、言葉にしにくい悩みの兆しが現れることがあります。そうした声を教員が早く拾い上げることで、大きな問題に発展する前に、適切な対応を取ることができるようになります。
もちろん、すべての子どもが本音を「心の天気」で表現できるわけではありません。
なかには、言葉にできない思いや、どう伝えればよいか分からない気持ちを抱えたまま過ごす児童・生徒もいます。これで完璧な解決策ができたとは言えません。
それでも、子どもの心の動きを「見える化」する手がかりを持つことは、非常に重要なのです。
分断されていたデータを統合し、子どもの日々の心模様にも目を向けながら、学校全体で見守る体制をつくっていく。
その積み重ねが、教育の質を高め、きめ細やかな支援につながると信じて取り組んでいます。
※2016~2021年 全国の市で1位。総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」より ※売上の一部がオールアバウトに還元されることがあります この書籍の執筆者:井崎 義治 プロフィール
千葉県流山市長。1954年東京都杉並区生まれ。立正大学地理学科卒、サンフランシスコ州立大学大学院修士課程修了(地理学専攻)。米国で地域計画、交通計画、環境アセスメントコンサルティングに従事。89年に帰国後、流山市民に。都市計画コンサルタントを経て、2003年から流山市長。現在6期目。全国市長会副会長、千葉県市長会長、健康都市連合日本支部支部長などを歴任。



