流山市は10年以上前から独自の英語教育に取り組み、さらに子どもの「心の状態」までデータで見守る仕組みを導入してきました。なぜそこまで教育に力を入れるのか。
本記事では、井崎義治市長の著書『流山市はなぜ選ばれ続けるのか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋・編集し、人口戦略の“その先”にある教育改革の取り組みを紹介します。
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国より10年早いスタート。市長がアメリカで痛感した「本当に使える英語」
小学校5、6年生で英語が教科化されたのは2020年度ですが、流山市ではその10年以上前から独自の英語教育を始めていました。なぜなら、これからの子どもたちに本当に必要な教育とは何かを考えたとき、英語教育の重要性はますます増していくと確信していたからです。
日本と世界を俯瞰的に見れば、将来的には人口が減少し続ける国内だけでなく、海外とも連携しながら仕事をする機会が、あらゆる職業分野で増えていくと予想できました。
私自身もアメリカで都市計画を学び、大学院での学びの後、アメリカでコンサルタントとして働き、永住権も取得しました。
ただ、そんな私も、中学・高校時代には英語に対して強い苦手意識がありました。
アメリカに移り住んだ後は、言語の壁に何度も苦労した記憶があります。この経験から、いわゆる「受験英語」だけではなく、実際に使える英語がいかに重要かを、身をもって感じていたのです。
英語への苦手意識を持たないこと、そして早いうちから英語を好きになって自ら学ぶ姿勢を育てることが、子どもたちの将来にとって確かなアドバンテージになるはずと考えるようになりました。
当時は、まだ英語教育の重要性は叫ばれていても、公教育で文部科学省の方針以上に英語教育を進める自治体は多くありませんでした。
「英語が好き」な生徒が9割超! 英検3級取得率が全国平均を凌駕した理由
それでも、流山市民の中には、海外駐在を経験していたり、海外と仕事をする方も多く、市議会でも英語教育の積極的な取り組みを求める声が活発でした。人口減少で日本の市場規模が縮小していく中、流山の子どもたちには、将来、日本でも海外でも仕事ができ、人生の選択肢を広く持てるようになってほしい。
そこで最初に行ったのは、ALT(外国語指導助手)の先生たちに「英語を好きになってもらう」ための独自の教科書をつくってもらったことです。その教科書を使って、小学1年生から英語に親しむ授業を始めました。
2008年(平成20年)には、市内すべての小学校に英語活動指導員を配置しました。5、6年生の授業において、準備から実施まで教員をサポートする体制を整えたのです。
2011年(平成23年)には、すべての中学校にALTを配置し、2014年(平成26年)には小学校5、6年生向けの英語教育プログラムを開発して、中学校教育との接続が自然に行えるようになりました。
こうした取り組みを重ねた結果、2019年度には中学校3年生時点で英検3級レベルの英語力を習得する生徒の割合が、全国平均の50%を大幅に上回る69%という高い成果が出ています。
なにより「英語が好き」と答えた児童・生徒が9割を超えたことは、このプログラムの最大の成果だと考えています。



