千葉県流山市です。かつては知名度も低く、財政難に直面していた郊外都市が、なぜ「子育て世代に選ばれるまち」へと変わったのでしょうか。
本記事では、井崎義治市長が自身の言葉で綴った著書『流山市はなぜ選ばれ続けるのか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から、共働き子育て世代(DEWKS)の“本当のニーズ”に向き合った戦略の一端を抜粋・一部編集して紹介します。
給食や医療費の「無料化」は最優先ではない?
「子育て世代を呼び込みたい」と考えている自治体は、流山市だけではないでしょう。ただ、実際に行われている施策を見ると、その目的にどれだけ効果があるのかよく分からない、単なる「ばらまき」になってしまっているケースが少なくありません。
たとえば、最近では全国各地の議会で「隣の自治体が給食費を無料にしたから、うちもすべき」「医療費も18歳まで無料にしよう」「東京都が行った保育料の完全無償化を!」といった質問があると聞きます。
そうした子育て支援は、ないよりあるに越したことはありません。しかし、本当に共働き子育て世代(DEWKS)の最優先のニーズなのでしょうか。
実際に共働きで子育てをしている方たちに話を聞いてみると、あれもこれも無料にしてほしいと強く願っているようには思えません。
本当に必要なのは「働きながら子育てできるインフラ」
ではDEWKSの方たちが最優先で求めているのは何でしょうか。何よりも「仕事をしながら子育てができる社会インフラ」を必要としていると、私は考えます。
「子育て世代を呼び込みたい」としたときの多くのケースでは、まず市民受けしそうな「施策メニュー」を考えるところから入ってしまう。
けれども本来は、課題とビジョンを明確にし、ニーズを把握し、戦略を組み立てることが何より大切です。施策は、戦略があってこそ届くのです。
どれだけ「共働きの子育て世代を歓迎します」と言っていても、子どもを預けて働くことができる環境が整わなければ、何も始まりません。
無料化施策を検討する前に、まずは保育園の待機児童問題をどう解消するかを考えるべきでしょう。
この20年間で、流山市は劇的に変わりました。
子どもを持つ共働き世帯の人たちから「選ばれるまち」になるために行ってきた施策のうち、代表的な事例をいくつか取り上げてご紹介します。



