人口増加トップの流山市長が語る。子育て支援の「無料化・ばらまき」より優先すべき“本当のニーズ”

人口減少の日本で、6年連続で人口増加率1位を記録した千葉県流山市。給食費や医療費の「無料化」といったばらまき施策ではなく、共働き世代を“送迎地獄”から救う画期的なインフラ整備に秘密がありました。(画像出典:PIXTA)

駅前に預けるだけで送り完了! 流山市を救った「送迎保育ステーション」

そして誕生したのが、駅前送迎保育ステーションです。

市内で複数路線が乗り入れる2つの駅前に、送迎保育ステーションを設置しました。

保護者が通勤途中に子どもを駅前のステーションに預けると、送迎保育ステーションと各保育園を結ぶバスが運行し、子どもたちをそれぞれの園まで送り届けてくれます。

夕方には、バスが市内の保育園を回って子どもたちをピックアップしてくれ、また送迎保育ステーションに戻ってきます。
駅前送迎保育ステーション
駅前送迎保育ステーション(画像出典:『流山市はなぜ選ばれ続けるのか』)
この仕組みの導入によって、保護者の送迎負担は大幅に軽減されました。

朝は子どもと一緒に駅に向かい、駅前で預けるだけで出勤できる。帰りも、仕事帰りにステーションに立ち寄るだけで、子どもを迎えられる。

送り迎えに追われていた、保護者たちの時間や心身の負担が、大きく軽減され、市民から多くの「ありがたい」「助かっている」との声をいただいています。

他市で失敗した施策が、流山市で大成功した「決定的な理由」

「送迎保育ステーション」自体は、他の自治体でも導入されましたが、うまくいかないケースもあったようです。

流山市では、これを市の政策として位置づけ、駅至近の保育園を除き私立保育園も含めて市内のすべての保育園を送迎対象にしたことが成功のポイントだったと思います。

法人などにより対象外の園があるのと、すべての保育園が対象になるのとでは、利用する保護者の利便性は格段に変わるからです。

保育園の数を増やすことにとどまらず、通わせやすさという観点にも踏み込むことで、DEWKS層の「本当のニーズ」に応えようとしたのが、この駅前送迎保育ステーションなのです。

※2016~2021年 全国の市で1位。総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」より
流山市はなぜ選ばれ続けるのか 共働き子育て世代が移住し、住民の93%が「住み続けたい」まち (ディスカヴァー携書)
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この書籍の執筆者:井崎 義治 プロフィール
千葉県流山市長。1954年東京都杉並区生まれ。立正大学地理学科卒、サンフランシスコ州立大学大学院修士課程修了(地理学専攻)。米国で地域計画、交通計画、環境アセスメントコンサルティングに従事。89年に帰国後、流山市民に。都市計画コンサルタントを経て、2003年から流山市長。現在6期目。全国市長会副会長、千葉県市長会長、健康都市連合日本支部支部長などを歴任。
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