中国の脅威から日本を守る
中国人による日本の土地の買収についても危機感を持っている。「大臣として重要土地等調査法も所管しています。この法律では外国人による土地取得は制限できません。この法律は基地周辺などの重要土地等の使い方を調査するものです。
過去に日本がWTO(世界貿易機関)のGATS(サービスの貿易に関する一般協定)に、土地取引について留保せずに加盟したからです。中国をはじめ多くの主要国は土地取引について留保して加盟しています。
中国人は日本の土地を買い放題なのに、日本人は中国の土地を買うことはできません。国際法は国内法より上位に位置します。だから、いつまでも土地取引を制限する法律が作れない。
多くの協定加盟国との間で困難な交渉になるとは思いますが、安全保障のためには土地取引を留保する努力も始めるべきです」
中国はここ数年、海外で暮らす自国民に対して緊急時に土地や建物についても国防準備を求める国防動員法、国家情報工作への協力を国民に求める国家情報法、有事の際に民間を動員する法律を積極的に制定している。
この点についても日本として対応していく必要性があると高市は言う。
「日本の国立研究開発法人、民間企業、大学の研究所には多くの中国人研究者が迎え入れられています。彼らは母国の情報工作に協力する義務を担になっています。機微(きび)技術の流出リスクを最小化することにも取り組みます」
令和の省庁再編
高市がすぐに取り組むべき政策や課題は山積だ。「情報通信分野の振興部門は、経産省だけでなく、総務省にも文科省にもあります。協力し合って情報通信省を作り、さらに内閣直轄のサイバーセキュリティ庁を設置したい。アクティブ・サイバー・ディフェンス(能動的サイバー防御)も含むサイバーセキュリティ対策に一元的な権限と責任を持つ組織にしたい。
WTOをはじめ国際会議に、日本からは外務省と経産省の大臣二名が政府代表として出席しています。他の参加国から抗議を受けたこともあるので、強い権限を持つ通商代表部の設置が必要です」
環境省と経済産業省の資源エネルギー庁を合体させ、環境エネルギー省も設置したいと高市は言う。
「今の日本は縦割りばかりです。それを調整するのは内閣府の仕事ですが、なかなか機能していません。時代に合った再編をする必要があります」
ドローンを例にあげても、本体は経産省や消費者庁、飛行させるためのルールは国交省、攻撃型ドローンへの対応は防衛省や海上保安庁や警察庁、電波については総務省と、各省庁にまたがっている。責任の所在が不明瞭になりがちだ。高市が省庁再編に手を入れたら、各省庁から抵抗が予想される。
「内閣が吹っ飛ぶくらいの覚悟を持って取り組まなくてはなりません」
高市は本気だ。
「コロナ助成金はひどい不正受給がありました。モラルハザードが起こらないような社会保障制度の仕組みづくりも徹底させないといけません。過去には生活保護の不正受給問題にも取り組みましたが、本当にお困りの方が堂々と生活保護を申請できる環境をつくるためにも、公正さの担保が重要です」
※本記事は、2024年9月15日刊行の書籍『高市早苗 愛国とロック』(飛鳥新社)の内容に基づき、当時の構想を一部抜粋・構成したものです。 この記事の執筆者:大下 英治 プロフィール
1944年、広島県生まれ。1968年、広島大学文学部卒。『週刊文春』記者を経て、作家として政界財界から芸能、犯罪まで幅広いジャンルで活動。著書に『十三人のユダ 三越・男たちの野望と崩壊』(新潮文庫)、『実録 田中角栄と鉄の軍団』シリーズ(講談社+α文庫)、『昭和闇の支配者列伝』シリーズ(朝日文庫)など500冊以上にのぼる。近著に『ハマの帝王―横浜をつくった男 藤木幸夫』(さくら舎)、『安倍晋三・昭恵 35年の春夏秋冬』(飛鳥新社)などがある。



