依然として厳しい「女子の戦い」と緩和の兆し
高校受験においては、「学力上位層の女子にとってハードルが高い(選択肢が少ない)」という構造的な問題が以前から指摘されています。例えば、早稲田・慶應の付属・系属高校の募集定員(一般入試に推薦などを加えた外部募集枠の合計)を単純合算すると、男子は5校で約1100人枠があるのに対し、女子は3校合計で約300人ほどしか枠がありません。
最難関進学校も同様に、開成や国立付属の合計定員は男子の方が多いのが現状です。男女で数百人規模の「定員の差」があり、女子の最難関受験は激戦とならざるを得ません。
このような中で、学力上位層の女子の有力な選択肢となるのが公立高校です。東京都と神奈川県の公立高校は全て共学ですが、千葉県には県立女子校が2校、埼玉県には県立女子校が7校もあります。
ただ近年、女子受験生の間では「共学志向」が高まっており、埼玉の県立女子校や、最難関の国立・私立女子校でも志願者が減少傾向にあります。
中学受験生は女子校に抵抗がない層も多いですが、高校受験生は小・中と共学で過ごしてきたため、高校も共学を希望するケースが多いのかもしれません。裏を返せば、人気が落ち着いている女子校は倍率などの面で「入りやすく」なっており、狙い目ともいえます。
また、都立高校では大きな制度変更がありました。2023年度まで存在した「男女別定員」の廃止です。
かつては「男子より女子の受験者が少ない」「41校もの私立女子校という受け皿がある」などの理由で、都立高校の女子定員は男子より少なく設定されていました。
そのため、「男子なら合格していた点数でも、女子だと不合格になる」という事態が起きていました。
しかし、この制度は撤廃され、2024年度からは性別に関係なく成績順で合否が決まるようになりました。これにより、女子にとっては都立難関校・上位校に挑戦しやすい環境が整っています。
私立難関校の狭き門に挑むのも1つの道ですが、制度改革が進む都立高校(進学指導重点校など)も、学力上位層の女子にとっては非常に魅力的な選択肢です。
中堅層も含め、経済的なメリットと進学実績の両面から、改めて公立高校を検討候補に入れるのも賢い戦略といえるでしょう。
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なぜ「タダ同然の公立高」を捨てるのか? 無償化でも私立回帰…2026年入試、親子のシビアな決断 この記事の執筆者:杉浦 由美子 プロフィール
キャリア20年の記者。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』(青春出版社)、『女子校力』(PHP新書)、『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)など単著は14冊。『ダイヤモンド教育ラボ』、『ハナソネ』(毎日新聞社)『マネーポストWEB』(小学館)などで取材記事を寄稿している。趣味は取材。



