ヒナタカの雑食系映画論 第205回

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』好評の一方で、“マンネリ”の指摘も? 映画館で必見の理由

『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』の「どの上映方式を選べばいい?」ことから、基本的には好評ながら厳しい意見もある理由、それでも称賛できる理由まで、解説します。(画像出典:(C)  2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.)

支配的で妖艶な悪役の「ヴァラン」の魅力

さらに、今回からの新キャラクターとして、アッシュ族のリーダー「ヴァラン」が登場します。彼女は火山の炎で故郷を奪われ、愛する民を失ったというトラウマを持っていたため、人間と手を組み惑星パンドラの支配を目論みます。
象徴的なのは、ヴァランがクオリッチから人間の銃器を与えられるシーンです。「先住民に銃を与えること」が「内戦を引き起こす」という、人間の植民地時代の痛烈な風刺そのものに思えます。

そのヴァランを演じたのはチャールズ・チャップリンの孫であるウーナ・チャップリンで、祖父のルックスに似ていることはもとより、獰猛かつ官能的でもあるキャラクターを体現したことを、誰もが称賛するのではないでしょうか。
全体を見渡せば「ジェイク・サリーとクオリッチ(とスパイダー)の因縁」のほうが目立っている印象があるものの、「クオリッチとヴァランの“利害が一致した”以外の理由でも“危険な関係”を匂わせる関係」もまた、興味深く見られると思うのです。

マンネリズムも含めて肯定できる理由も、フレッシュな要素もある

ストーリー面の賛否、あるいは画を含めてのマンネリが指摘される『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』ですが、それでも人類の持てる力を結集したような映像はやはり圧巻。単純に「数字」だけでも、ニュージーランドでの制作スタッフは1500人超。視覚効果の数は3382ショット、ほぼ全てがCGなのに小道具は2000点超が制作されるなど、やはり規格外です。
アバター
(C)  2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
家のモニターでは、どうしたって没入感が削がれてしまいますし、3時間超えの時間では必然的に集中力も失われてしまうため、やはり映画館で見る機会を失ってほしくない、と強く思うのです。

また、海の上での決戦などのメインの画には既視感があるものの、空を飛ぶクラゲのような巨大生物の「メデューソイド」のスケール感と美しさ、サブタイトルの「火と灰」が美しく映えるシーン、「新たに参戦してくれる巨大生物」の笑ってしまうほどに豪快かつ痛快な活躍、クライマックスでの「驚きのバトルのシチュエーション」の興奮など、フレッシュな画もしっかり用意されています。

また、前述してきたマンネリを言い換えれば、「『アバター』という作品が持つ面白さが担保されている」「安心して見られる」ということでもあります。それはある種の「様式美」とも言えますし、それを崩さずにシリーズで一貫していることも、実は美点とも言えると思うのです。
アバター
(C)  2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
その様式美の中で、前述してきたキャラクターの成長や変化は、間違いなく魅力的に描かれていますし、リアルタイムでシリーズを追えたからこその感動も間違いなくあるでしょう。

次回作からは「新たな物語の始まり」に

また、ジェームズ・キャメロン監督は、「4作目、5作目の構想はある」一方で「『ファイヤー・アンド・アッシュ』でシリーズが一区切り」「3部作としての物語は本作で完結」と明言。「次作が作れるかどうかは本作のヒット次第ですし、もし実現したとしても、それは新たな物語の始まりとなります」とも宣言しています。(海外ドラマNAVIのインタビューより)

無事に『ファイヤー・アンド・アッシュ』は大ヒットスタートとなりましたし、4作目、5作目が作られる可能性は高いでしょう。そして監督自身が「新たな物語の始まりとなります」と宣言しているからこそ、ネガティブな意味でのマンネリも打破した、新たな『アバター』が見られることにも期待しています。
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