基本的には好評。ただしマンネリを指摘する厳しい意見も
そんな『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』の作品評価は、「高いレベルながらやや賛否を呼んでいる」といえます。映画.comでは5点満点中3.8点、Filmarksでは4.0点と十分に好評といえるスコアですが、アメリカの批評サービスのRotten Tomatoesでの批評家支持率は66%に留まっていたりもするのです(いずれも12月下旬)。特によく見られるのが、「既視感がある」「新鮮味が薄い」といった、マンネリズムを指摘する意見です。確かに全体的な物語の印象は、「先住民と侵略者である人間たちの戦い」「その間にいる主人公が決死の行動をする」「植民地化による資源の搾取や自然破壊への批判」といった「物語の大筋と根幹」がシリーズ3作で共通しています。
それでも2作目の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』では、1作目とは明確に異なる「海の上の美しい光景と迫力のバトルシーン」と「主人公に家族ができてこそのドラマ」という要素があったため、それほどマンネリズムを感じさせませんでした。
しかし、今回の3作目『ファイヤー・アンド・アッシュ』はその2点が「地続き」な上に、1作目から物語の大筋と根幹は共通しているので、「2作目と(あるいは1作目とも)やっていることはほぼ同じでは?」という不満の声があるのも、致し方がないと思えたのです。
また、ジェームズ・キャメロン監督は1作目の時点から、劇場パンフレットに「見慣れない環境で、見慣れたタイプのアドベンチャーを作り出したいと思った。異星の土地と文化を舞台とした、典型的なストーリー」と言い切っていたりもします。
1作目の公開当時から『風の谷のナウシカ』や『ポカホンタス』や『ダンス・ウィズ・ウルブズ』などの既存の有名な映画との類似性も指摘されていましたし、3作で共通する物語そのものが「よくある」ものであったと思うのです。
キャラクターの成長や関係は「前に進んでいる」
そのように「全体的には典型的な物語」かつ「シリーズで同じことの繰り返し」のような内容への不満が出るのは当然のこと……と思いつつ、その批判をするだけではもったいない、という気持ちも同居しています。なぜなら、この3作目では、2作目であった出来事を踏まえてキャラクターたちが「前に進んでいる」と思えたからです。大枠ではマンネリを感じたとしても、それぞれの心情や関係性に着目すれば、かなり面白く見られるのではないでしょうか。
ここからは、キャラクターの魅力や成長を振り返ってみましょう。これらを踏まえれば、前2作を見ていない人でも楽しめると思うのです。公式Webサイトにはキャラクター紹介のページもあるため、前2作を見た人であっても設定を忘れてしまっているのであれば、ぜひ一度目を通しておくことをおすすめします。
※以下、今回の3作目『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』の明確なネタバレは避けたつもりですが、2作目『ウェイ・オブ・ウォーター』および1作目のネタバレに触れています。ご注意ください。



