ヒナタカの雑食系映画論 第201回

なぜ満席続出? 傑作にして怪作映画『WEAPONS/ウェポンズ』ネタバレなしで知りたい3つのこと

世界中で大ヒットを飛ばした映画『WEAPONS/ウェポンズ』が日本でも満席続出となりました。なぜ本作が「ネタバレ厳禁」であるのか?作品の魅力と共にたっぷり解説しましょう。(画像出典:(C) 2025 Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved)

ウェポンズ
『WEAPONS/ウェポンズ』 11月28日(金)劇場公開 (C) 2025 Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved 配給:ワーナー・ブラザース映画 映倫:R18+
映画『WEAPONS/ウェポンズ』が11月28日より劇場公開中です。とにかく、本作は後述する注意点をクリアできる人は絶対に見てください
ヒナタカ
この記事の執筆者: ヒナタカ
映画 ガイド
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。 ...続きを読む
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週末は満席続出!でも上映劇場が少ない!そしてめちゃくちゃ面白い!

何しろ、同作は3回に渡って全米週末興行ランキングNo.1を記録し、世界興行収入380億円を突破した大ヒット作。そして、この日本でも多くの上映回が満席または満席近い大盛況となりました。

もっとも、現時点での上映館数が33館と少なく、しかも1日の上映回数もごく限られていたからこそ、人が詰めかけているところもあるでしょう。今後も混雑が予想されるため、上映劇場を確認し、早めにご覧になることをおすすめします(そして「自分の地域では上映していない!」という悲痛な声もあるので、上映館数増えて……!)

その大ヒットの理由は、何しろ圧倒的な評判によるものでしょう。Rotten Tomatoesでの批評家支持率は94%にまで上っていますし、この日本では、後述する「怪作」と呼べる特徴も相まってやや賛否を呼んでいるものの、それでもホラー映画の評価が厳しくなりがちなレビューサイトで映画.comで3.7点、Filmarksで3.9点と十分に好評です。

そして、この『WEAPONS/ウェポンズ』は評判以上にめちゃくちゃ面白い! とにかく先が気になるし、一時たりとも退屈するスキもない、グイグイと惹き込まれる、とてつもないエンターテインメントでした。

まずは完全ネタバレなしの予備知識として、「ネタバレ厳禁と言われる理由」「R18+指定だがグロいか」「どういうタイプの怖さがあるか」を記していきましょう。

注意点:R18+指定のグロさはある?怖い?見る前に知ってほしいこと

「ネタバレ厳禁」である最大の理由は、「なぜか子どもたちが深夜に姿を消した」という謎につながるヒントがちりばめられていて、見ながら答えを予想をしていくことに面白さがあるから。先の展開が読めないからこそ、翻弄(ほんろう)されるような恐怖、あるいは深淵に近づくようなゾクゾクした感覚を楽しめるでしょう。

注意点は、R18+指定という高いレーティングがされている通り、直接的な残酷シーンがごくわずかにあること

しかし、ショッキングではあれど、そのシーンは多くはなく、描写としてもしつこくありません。人によってはブラックなユーモアさえ感じられる……むしろ、ありえない方向性のグロさのせいで、笑ってしまう描写もあるのです。「グロは絶対NG」という人でなければ、それほど抵抗はなく受け入れられるのではないでしょうか。
ウェポンズ
(C) 2025 Warner Bros. Entertainment. All Rights Reserved
また、序盤に1カ所だけジャンプスケア(大きな音で驚かせる演出)があるものの、そこ以外ではほとんど見受けられませんでした。どちらかと言えば日本のホラーに近い「じわじわと来る」タイプの怖さがある作品なので、頻繁に「ワッ」と驚かされることが苦手な人でも、本作は大丈夫でしょう。

むしろ、恐怖よりも注意しなければならないのは、「子どもたちが失踪した」ことに起因する、キャラクターそれぞれの辛く苦しい心情に同調するからこその「精神的負担」なのかもしれません。

本当に恐ろしく、観客に精神的な負担を強いるのは終盤の展開なのですが、そればかりはネタバレなしでは説明不可能です。筆者はそのあまりのシチュエーションによる悲しさと恐ろしさ、そして映画としての圧倒的な面白さがあいまって、涙を流してしまいました
ほかに事前に知っておくべき情報はないのですが、ここからはある程度は内容に踏み込む形で、でもネタバレには触れないように、特徴や魅力を3つのポイントからたっぷりとお伝えします。予備知識をまったく入れない状態で見たい人は、先に劇場へ駆けつけてください。
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『呪怨』を思い出す構成の「もどかしさ」が重要だった
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