ヒナタカの雑食系映画論 第198回

『プレデター:バッドランド』を見る前に知ってほしい3つのこと。もはや『ドラゴンボール』だった理由は?

絶賛の声が届く『プレデター:バッドランド』を見る前に知ってほしい3つのことを解説します。もはや『ドラゴンボール』だった思えた理由もあるのです。(画像出典:(C) 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.)

2:設定やあらすじは『ドラゴンボール』に近い?「寡黙なハンターの陽気な女性とのバディもの」の面白さ

今回の『バッドランド』の最大の特徴は、これまでは恐るべき敵だったプレデターを主人公としていること。しかも、これまでの「知的で冷酷なハンター」というイメージを保ちつつも、なんとも愛おしくて感情移入できる、魅力的なキャラクターとなっているのです。
何しろ、そのプレデターの「デク」ははっきり「未熟」。父や兄のように自身の強さを証明したいと願ってはいるものの、物語冒頭でとある残酷な悲劇を経て、宇宙で最も危険な惑星にやってきます。プライドが高い一方で、まだ若く経験も浅いため、戦闘ではミスが多く、時には予想外の事態に大慌てしたりするので、なんともハラハラするのです。
しかも、彼のバディ(相棒)となるのは、なぜか下半身を失っている女性のアンドロイド(人間型のロボット)の「ティア」。寡黙で必要最低限のことしか口にしないデクに対して、ピンチになっても何かとしゃべり続ける陽気な性格の持ち主で、その「凸凹コンビ」感もたまらなく愛らしく、シリーズでもっとも親しみやすい作風にもなっていました。
さらに思い出したのが、言わずと知れた『ドラゴンボール』でした。そちらの序盤も目的を同じくする男女のコンビが冒険をする物語であり、かけがえない友情を育んでいくことも、『バッドランド』と共通しています。

しかも、プレデターは「強さを求めて全宇宙を舞台に狩りを続ける誇り高き戦闘種族」であり、それも『ドラゴンボール』における戦闘民族・サイヤ人にかなり似ています。そのサイヤ人である孫悟空もまた「家族によって逃がされた」という、『バッドランド』のデクと似た経緯の持ち主だったりしました。

さらに『ドラゴンボール』と『バッドランド』は、その「戦いこそを至上とする」種族に生まれた主人公が、それ以外の大切な仲間を得るという過程も共通しています。それは家族や生き方が多様になった現代では共感できる価値観といえるでしょう。

そして、終盤では激しいバトルアクションがエスカレートするだけでなく、もはや「友情・努力・勝利」を掲げるような、「少年漫画のようなアツさ」にもつながっているのです。
プレデター
(C) 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
ちなみに、実際にダン・トラクテンバーグ監督が影響を受けたと明言しているのは、ゲームの『ワンダと巨像』です。同ゲームでは馬が相棒のような存在であり、『バッドランド』の「正反対のキャラクターと一緒にいる」ことなどにインスピレーションを与えていたのだそうです。
さらに余談ですが、予告編でのタイトルコールを担当しているのは、『僕のヒーローアカデミア』で知られる声優の山下大輝で、その主人公である「緑谷出久」の通称が「デク」であることが、今回の『バッドランド』の主人公と同じだったりするのです。デクは日本語で「木偶の坊(でくのぼう)」を連想させる、ネガティブなイメージもあるからこそ、より彼らのことを「がんばれ!」と応援したくなる方もいるでしょう。

3:バラエティ豊かなアクション、そしてあっと驚くサービスも?

そして、本作の本分はやはりド派手なアクション映画かつ、ただ生きることも困難な危険な惑星でのサバイバル劇。ここでは具体的な言及は避けておきますが、見せ場はバラエティ豊かであっと驚くアイデアも満載。「次は何が起こるんだ!?」という予想のつかなさも含めて楽しんでほしいです。

『マレフィセント』などではまだ少女のイメージがあったエル・ファニングが、(アンドロイドですが)おしゃべりな大人の女性としても愛らしいのは言うに及ばず、彼女が後半では「まったく違う一面」を見せることも大きな見どころ。劇中の彼女は下半身がないために序盤では「背負われたままアドバイスをする」ような立場ですが、終盤には彼女自身が戦う痛快な見せ場も用意されているのです。
プレデター
(C) 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
さらに、プレデターのデクを演じるのは、ニュージーランド出身の新鋭ディミトリアス・シュスター=コロアマタンギで、彼は演技だけでなく、アクション、スタントのすべてを高レベルで成し遂げる逸材だったのだとか。実際の撮影ではプレデターの装甲を実際に身につけ、リアルなアクションに挑戦し、今回のために新たに生み出した「ヤウージャ語」を巧みに操る熱演を見せたとのこと。

なお、激しいアクションシーンはあれどG(全年齢)指定であると前述しましたが、実際は首や腕が吹っ飛びまくる、冷静に考えればR15+指定でもおかしくない描写が終盤では満載だったりしました。しかしながら、その首や腕が吹っ飛びまくるのが実際はアンドロイドであり、血しぶきが派手に飛び散る描写はないため、なるほど年齢制限をしなくても大丈夫なのだと納得できるでしょう(?)。

そして、予定調和にならないサービスもしっかり用意。例えば、劇中で言及される「ウェイランド・ユタニ社」は、エイリアン』シリーズに登場する企業の名前です
それに伴って、『エイリアン』のファンが大はしゃぎできる、とあるサプライズも用意されているので、そちらもぜひ楽しみにしてください。
ヒナタカ
この記事の執筆者: ヒナタカ
映画 ガイド
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。 ...続きを読む
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