猫は、あなたにとって単なるペットではなく、かけがえのない家族そのものでしょう。毎日、その愛らしい姿に癒され、幸せをもらっている分、頭の片隅でいつもよぎる不安はありませんか?
「もしも、自分に万が一のことがあったとき、この子は一体どうなってしまうのだろう?」
病気や事故は誰にでも起こり得ます。そして、あなたが旅立った後も、愛する猫が安心して暮らしていける環境を用意してあげることが、飼い主としての最大の愛情だと言えるでしょう。
11月22日は「わんわん(11)にゃんにゃん(22)の日」。この日を機に、愛犬との幸せな未来だけでなく、万が一の備えについても考えてみませんか?
今回は、日本動物科学研究所会の富田園子さんの著書『私が死んだあとも愛する猫を守る本』(日東書院本社)から、「猫のための<遺言書>の作り方」を抜粋・編集してご紹介します。
猫のための<遺言書>を作ろう
終活といえば<遺言書>を思い浮かべる人も多いでしょう。自分の死後、親族以外に猫の飼育費として財産を渡したいときの「遺贈」はもちろんのこと、親族のうち猫を託す一人に飼育費として財産を多めに渡したい場合も<遺言書>は必要です。じつは遺言書は2種類あります。自身が手書きで書く「自筆証書遺言」と、公証人が本人から聞いた内容を文章にまとめて公正文書として作成する「公正証書遺言」です。
「自筆証書遺言」は手軽に作れるのがメリットですが、不備があると無効になるため、確実に残したいなら「公正証書遺言」がおすすめ。ただし費用や手間がかかります。
「自筆証書遺言書保管制度」なら、より安心
「自筆証書遺言」の手軽さを生かしつつ、デメリットをカバーできるのが2020年からスタートした「自筆証書遺言書保管制度」です。遺言書の原本と画像データを法務局(遺言書保管所)が保管するため偽造や改ざんの恐れがありません。また法務局職員が遺言書をチェックするため無効になりにくく、家庭裁判所による検認手続きも不要になります。
さらに、あらかじめ希望しておけば遺言者が死亡した際、指定した人へ法務局が通知してくれるので、遺言書の存在に気づかれないという事態もなくせます。1件3900円で利用できます。
公正証書遺言はプロに作成してもらうので間違えることはないはず。
ですから今回は自筆証書遺言の書き方を説明します。ポイントさえ押さえれば難しいことはありませんし、何度でも書き直しできます。書き直しするときは昔の遺言書は破棄したほうがよいですが、もし複数見つかった場合、最新の日付のものが優先されます。
<遺言書>を書かないとどうなるの?
<遺言書>がない場合は、民法に従い法定相続人に財産が分けられます。法定相続人とは配偶者、子、父母、兄弟姉妹のこと。相続する財産の割合の高さもこの順で、配偶者は最も多く財産を引き継ぎます。例えば自分亡きあと、猫は妻と子どもが世話をするとわかっているのなら、妻と子には財産が一番多く残されるので<遺言書>は必要ないかもしれません。しかし例えば姪に猫を託す場合、姪は法定相続人にはあたらないため<遺言書>がないと財産を渡せません。
複数いる子どものうち一人に猫を託し、そのぶん遺産を多く残したい場合なども<遺言書>が必要になります。<遺言書>がないとどの子どもにも均等に財産が渡されます。



